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Designer's TALK
- 空間と素材
空間のつくり手が語る、空間と素材へのアプローチ

TALK #05

空間の密度を保つ素材の選び方
設計事務所ima 小林 恭 小林 マナ

ブランドイメージや商品を効果的に見せる素材

音楽をテーマにデザインした「IL BISONTE」吉祥寺店(写真:ルック)

音楽をテーマにデザインした「IL BISONTE」吉祥寺店(写真:ルック)

― 「イル ビゾンテ」の吉祥寺店は壁にアナログレコード盤が貼ってあるのですね。中央の什器はピアノの形、その上に吊ってあるのは金管楽器の照明ではありませんか!

マナ:奥の壁は五線譜に、バッグを音符のようにディスプレイしているんですよ。

― どうして音楽がテーマだったのですか?

恭:商品デザインを手がける本国イタリアの社長が音楽好きで、彼のリクエストです。ちょうど吉祥寺店をリニューアルするタイミングで、吉祥寺にはミュージシャンも多いので、この店で実現するのがいいだろうと。

テーマを設定した店も、設定していない店も、ご覧いただくとわかるように、商品が魅力的に見える素材で構成するという考え方は同じです。それがベースとしてあるから、このようにアレンジしても、違うブランドとは思われない。型ができていれば応用も利くというわけです。

正面に見える展示台はパーカッションの形(写真:ルック)

正面に見える展示台はパーカッションの形(写真:ルック)

「ニューヨーカー銀座フラッグシップショップ」は2層構成。1階より2階のほうが広い(写真:Nacasa & Partners)

「ニューヨーカー銀座フラッグシップショップ」は2層構成。1階より2階のほうが広い(写真:Nacasa & Partners)

客を上階に誘導するために、階段まわりにはさまざまな工夫を凝らした(写真:Nacasa & Partners)

客を上階に誘導するために、階段まわりにはさまざまな工夫を凝らした(写真:Nacasa & Partners)

― 「ニューヨーカー銀座フラッグシップショップ」もテーマを設けてデザインしていませんか?

恭:そうですね。旗艦店のオープンはブランド設立50 年を記念したもので、「ニューヨーカー」はご存知のようにトラッドなファッションブランド。ニューヨークのホテルのような空間に落とし込むと、商品もブランドのコンセプトも引き立つのではないかと考えました。

マナ:1階はロビーのイメージでデザインしています。床に使ったのは、大理石のモザイクタイルとウォールナットの無垢材のフローリング。モザイクタイルはニューヨークの地下鉄の駅などで実際に使われているものです。

― ブリックタイルはアンティークですか?

マナ:そうです。古い建物を使っているというイメージで。

恭:空間にはきちんと押さえるべきポイントがあり、その部分には上質な素材を使わないとコンセプトが薄まってしまう。質感がフェイクな素材はどうしても劣化しますから。それに「ニューヨーカー」はしっかりしたスーツをつくっているので、そういう商品と空間をマッチングさせる必要もありました。

スイートルームのイメージでつくり込んだ2階のメンズコーナー(写真:Nacasa & Partners)
スイートルームのイメージでつくり込んだ2階のレディースコーナー(写真:Nacasa & Partners)

スイートルームのイメージでつくり込んだ2階のメンズコーナーとレディースコーナー(写真:Nacasa & Partners)

― 上り下りするのが楽しい階段の壁面ですね。

恭:この店は1階の天井高が4メートル以上あるんです。階段の位置から設計できたので、お客さんが上りやすいように踊り場を設ける階段にしました。

マナ:壁面のイラストは「ニューヨーカー」のアーカイブ写真を元に、「STOMACHACHE.(ストマックエイク)」というイラストレーター姉妹に描いてもらいました。彼女たちが描くとポップになるんですよね。お客さんに2階まで上がってもらうのはとてもハードルの高いことで、とにかく楽しく上がってもらいたいと思ったんです。一部は壁に直接描いていて、他はイラストを印刷した壁紙を貼っています。

恭:2階はスイートルームのイメージで、メンズコーナーはベッドルーム、レディースコーナーはリビングルームに見立ててつくり込みました。

(TALK #06に続く)

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