sangetsu

forBusiness

機関投資家と監査等委員との対話 
第1回

企業価値向上を目指し、より実効力のあるガバナンス体制へ 企業価値向上を目指し、より実効力のあるガバナンス体制へ
2018年9月、サンゲツのガバナンス体制について理解を深めていただくため、機関投資家と監査等委員である取締役との対話を行いました。
  • 那須 國宏

    那須 國宏

    【社外取締役 監査等委員】
    弁護士 那須・岩﨑法律事務所(元日本弁護士連合会 副会長)

  • 羽鳥 正稔

    羽鳥 正稔

    【社外取締役 監査等委員】
    元株式会社カネカ 代表取締役 副社長

  • 浜田 道代

    浜田 道代

    【社外取締役 監査等委員】
    名古屋大学名誉教授(元公正取引委員会委員)

  • 田島 貴志

    田島 貴志

    【取締役 監査等委員】
    元当社秘書室長

企業価値向上を目指し、より実効力のあるガバナンス体制へ

改革による会社の変化について

Q.2014年に安田さんが社長に就任し、会社は大きく変化したのではないでしょうか。皆さんの視点から、なぜここまで変化できたのかという要因と、現在の社内の雰囲気を聞かせてください。

那須:当社は、創業者である日比 賢昭前々社長の強いリーダーシップによって成長し、今の基盤を作った会社です。ただその一方で、社員あるいは取締役も、そのリーダーシップに頼ってしまい、自発的・自立的な提案が出ないという場面もありました。安田さんに交代し、さまざまな具体的施策が進んでいますが、一番根底にあるのは、社外取締役や社員含め、「経営の一翼を担っている」という経営者意識の醸成です。中期経営計画も、社内プロジェクトチームを作るなどして、社員のボトムアップの中からまとめあげて、計画を練っています。取締役会においても、執行側から活発な意見が出るようになっています。

羽鳥:会社が大きく変化した要因としては、インテリア業界が抱えている危機や将来展望、構想、具体策を整理し、社員に分かるように示したということが一番大きいと思います。それと、安田さんの「改革」に対する考えや想い、そして改革を推進するスピート感も大きな要因ですね。

那須:社内においては、「社員からのボトムアップ」が行われるようになったことで風通しが良くなり、全体として活性化しています。安田さんは、人材育成も心掛けていますので、社員にとっても、希望や将来像が描きやすくなってきているのだと思います。

監査等委員会の役割について

Q.変化の中では、さまざまな案件についての検討と決断があったのではと思います。どのような議論により、これらが進められてきたのでしょうか。

那須:M&Aなど投資をしていく場合には、それ自体の価値や分析内容など、決断の妥当性を数回にも渡って議論した上で、納得して執行側の提案に賛成するという形で、良い緊張感を持って進んでいます。

羽鳥:特にM&Aにおいては、資産価値という面での考え方が社外取締役でも各々違い、議論を要します。いくら議論をしてもまとまらないケースもありますが、どこかで決断をしなければならない時に、安田さんは多数決では決めません。取締役の誰かが異論を抱えていれば、全員が納得するまで説明します。我々が注意点など条件を付けることはありますが、最終的には全員納得の上で進められています。安田さん自身のスピード感からすると、歯がゆさもあるかもしれませんが、今ある議論を尽くし、経営方針を決めていきたいという思いを強く感じます。

浜田:安田さんは、リーダーシップを取ってきちんとご説明されます。良いことだけではなく、上手くいかなかったことについても、包み隠さずにきちんと取締役会で報告されますし、原因について自身の見解も説明されるので、全体として非常に話がしやすい雰囲気があります。

Q.社外取締役としての役割を果たす上で、情報収集や発言といった面でどのような点に注意していますか?

羽鳥:これまでの経歴から、製造に関する情報ソースは持っているものの、自身ではサンゲツでの業務経験がないため、社内での情報収集については、できる限りさまざまな階層のミ-ティングに出席したり、直接業務執行取締役から話を聞く機会を設けています。また、各種レポートからは、その一部から問題の前兆や全体を読み解くのが、社外取締役の責任だと思います。

那須:毎年、取締役としての自己評価を出しており、その中の1項目に、「株主など外部のステークホルダーの意向を踏まえた活動をしているか」という設問があります。当然、一般的な経済情勢や経営環境には関心を持って活動していますが、外部の方が当社に対しどのような意見を持っているかを知る機会は少ない。これについては、昨年から開催している東京での「株主さま向け会社説明会」や、今回のような機関投資家の方との対話を情報源として活かしています。

浜田:監査等委員ですから、監査役会設置会社の監査役の役割を果たすのも任務の一つだと思っています。特にリスクコントロールやコンプライアンスを注意してチェックしていますが、セクハラ、パワハラの撲滅に始まり会社の雰囲気はずいぶん変わってきています。監査役会であるとすれば、利益相反的なことを執行側が行わないかを見張っていくことが一番重要な課題になるでしょうが、この点については、安田さんは青年の心意気のような思いが強く、私利私欲ではなくて、会社のため社会のために一生懸命にやろうという姿勢が強く感じられます。これは、監査等委員としては、安心できるところです。

ガバナンス機能の強化について

Q.サンゲツは2015年に「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行しました。これは他企業と比較しても、かなり先駆けた取り組みでしたが、この背景を教えてください。

浜田:コーポレートガバナンスコードにより、社外取締役を複数人選任することが求められるようになったことで、形式的に監査役設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した会社もあるかもしれませんが、当社は監査等委員会設置会社の中でも、この制度を上手に使いこなしていると思います。

当時を振り返ると、これは経営のバトンタッチを乗り越えるための、大きな施策だったのではないでしょうか。創業家の前々社長が社外取締役に招聘し、後を継いだ前社長が安田さんにバトンタッチをしました。安田さんが監査等委員会設置会社への移行を選択されたのは、このタイミングです。今まで創業家が担ってきた経営を受け継ぐことになり、安田さんが真っ先に取り組んだことの一つは、社員を励まし「皆で経営する」という雰囲気を作ることでした。同時に、社員に示しをつけ、また株主さまにきちんと説明するためにも、「自分自身が監督されている」という状況を敢えて作られたのではないかと思います。

ガバナンス改革の進展と企業の事情がマッチしたがゆえに、監査等委員会設置会社の中でも有効的な活用をする会社になったのでしょう。そうした状況で監査等委員に就任したので、それぞれのメンバーも安田さんの考えを理解して、しっかりと役割を果たそうとしていると思います。

Q. 「監査役」と「監査等委員である取締役」の違いとして、実質的にはどういう点が違うと思いますか?また、体制移行後の変化について教えてください。

羽鳥:「監査役」と「監査等委員である取締役」の違いとは、分かりやすく言えば、取締役会で一票の議決権があることです。ただ、大きな意味での視点や役割はあまり変わりません。さらに踏み込むと、「持続的な企業価値の向上に責務を担っている」という点においては、私たち非常勤の取締役も、業務執行取締役と役割はあまり変わらないと考えています。

浜田:監査等委員会設置会社の社外取締役となり、この制度の利点を実感しています。監査役会制度の要素も半分くらい取り入れられているので、監査機能の弱体化を防ぐことができます。当社でも、常勤監査等委員の田島さんが全国を往査し、詳細な月例報告が社外監査等委員に届きます。これは、監査役会の良い面を体現しています。

那須:確かに、監査等委員会設置会社においては、常勤の監査等委員取締役の役割が大きいですね。この制度設計で常勤の人を入れているのは監督機能の充実という点で、たいへん良いと思います。また、私自身は実際に監査等委員に就任して、取締役会構成員としての責任や業務執行における現実的な課題についての関心をより強く持つようになり、かつ適正で妥当な執行がされているかを考えるようになりました。

田島:監査等委員会は、監査等委員以外の取締役の人事や報酬について、株主総会で意見を述べることができ、実際に当社はこれを行っています。さらにサンゲツでは、任意の指名報酬諮問委員会を設置しており、監査等委員全員がその委員です。委員会では指名、及び報酬について活発な意見交換を行うなど、社外取締役の適切な関与により、ガバナンスの向上につなげています。これも移行後の変化のひとつです。

また、監査等委員会設置会社は、「監査」と「監督」の両方の機能が求められるハイブリッド型の仕組みですが、わが社は取締役に意思決定を委任できるよう定款で定めており、これにより自己監査防止と共に、経営のスピードアップをはかるなど、社外取締役がより監督機能を発揮できるようにしています。このように、移行によって経営諸課題に関する議論が深まり、意思決定のプロセスが透明化されるのはとても良いことと思っています。

【出席者】

●株式会社サンゲツ
社外取締役 監査等委員/
那須 國宏、羽鳥 正稔、浜田 道代
取締役 監査等委員/
田島 貴志
●機関投資家の皆さま
アセットマネジメントOne株式会社 安田 圭介氏
株式会社いちよし経済研究所 内藤 佑介氏
株式会社東海東京調査センター 細井 克己氏
PGIMジャパン株式会社 上田 竜平氏
みさき投資株式会社 新田 孝之氏、竹中 佑旗氏
三井住友アセットマネジメント株式会社 
古賀 直樹氏、川鍋 秀樹氏