2020年5月に発表した長期ビジョン【DESIGN 2030】において目指す企業像を「スペースクリエーション企業」と定め、その経営・事業基盤強化のひとつとして「DATAによる事業の効率化と転換」を掲げました。また、2023年5月に発表した現中期経営計画【BX 2025】では「デジタル資本の連携と活用」と表現を改め、基盤の強化のみならず、事業活動への活用・ビジネスモデルの転換に向けた取り組みを進めています。
当社グループの取り扱う商品点数は12,000点におよび、そのバリューチェーンは非常に長いものとなっています。一方、これらの膨大な商品データや、バリューチェーン上の各プレイヤーが持つ情報は必ずしも一元的な管理がされておらず、経営上の大きな課題の一つでした。こうした多様な情報をデジタル化し、在庫管理や商品の採用情報を正確に把握することで、取引・物流の効率化やユーザーへのサービス拡大を図るなど、より高い付加価値の提供を目指しています。
サプライチェーンを統合したDATAの連結による1.取引の確実化と2.物流の効率化
消費者へのデジタルでの商品選定サポートによる3.付加価値提供
当社はデジタル資本の拡大に向けて、2020年にDX推進室を設置し、業務のデジタル化と事業活動への活用を進めています。直近では、社長直轄でサプライチェーンマネジメント(SCM)のタスクフォースを立ち上げ、デジタル資本・SCM戦略等に精通した人材を担当役員としてキャリア採用し、全部門にまたがるデジタル資本の検討、取り組みを開始しています。
一方、拡大するセキュリティリスクに対しても、業務上取り扱う顧客や取引先および自社の情報資産やネットワークシステムを、各種サイバー攻撃の脅威から適切に保護し、正常かつ円滑な事業活動を維持・継続することを目的として、2022年8月にサイバーセキュリティ統括室を新設しました。2022年度下期からは社長執行役員、サイバーセキュリティ担当執行役員をはじめ、各部門の責任者が参加するサイバーセキュリティ委員会を開催しています。また、これらの取り組みを推進する人材については、キャリア採用による専門人材の獲得と社内人材の育成を進めています。
情報システム人材の推移
約12,000点の商品を常備在庫し、品切れのない安定供給を実現するためには、SCMの強化が重要になります。これまでの注文を受けてから各工程で対応していたデータ管理から、受注情報と在庫補充情報を連携し、一気通貫で管理する仕組みへの見直しを進めています。この管理体制により、情報のタイムラグを解消することで、在庫の適正化によるキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善と、コスト削減や配送サービスレベルの向上を図っていきます。
在庫適正化の取り組み(各工程のデータ一元化)
社員が主体的に業務のデジタル化を推進するプロジェクトを進めています。RPA※1やAppSheet※2といったIT技術を活用し、業務の効率化と生産性の向上を目指しています。また、同プロジェクトの参加者は社員の10%に上ります。この活動を通して、デジタル人材を育成していくことも目的のひとつであり、人的資本の強化の一環として取り組みが拡大しています。
※1 RPA(Robotic Process Automation):人が行っている業務をロボットにより自動化するためのツール
※2 AppSheet:ノーコードで簡単に、モバイルアプリやデスクトップアプリを開発できるツール
プロジェクト名 |
目的 |
参加比率 |
2024年3月時点の成果 |
RPAプロジェクト | RPAを活用し、定型業務を自動化することで業務の効率化を目指す。 | 全社員の 約10% |
ロボット作成数:205件 年間約11,000時間削減 |
AppSheet活用 プロジェクト |
業務改善・情報活用のアイデアをアプリ化し、業務のデジタル化と生産性の向上を目指す。 | アプリケーション 実装数:157件 |
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