"スペースクリエーション企業"の実現に向けて、サンゲツグループは2030年を見据えたSangetsu Group長期ビジョン【DESIGN 2030】を見直すとともに、2025年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画(2023-2025)【BX 2025】※を策定しました。
長期ビジョンの見直しおよび新中期経営計画策定に関するお知らせ(PDF 353KB)中期経営計画(2023-2025)【BX 2025】(PDF2.2MB)
中期経営計画スライド資料+要旨(PDF 8MB)
中期経営計画説明動画(再生時間:約49分)
2014年以降、3度の中期経営計画を通じた諸施策の実行により、2022年度には大幅な収益向上を実現しました。この一方、さらなる成長に向けては、以下のとおりさまざまな外部・内部課題を認識しています。
人的資本とデジタル資本を基盤としたデザイン力とクリエイティビティによる4機能、すなわち
これらを有機的にインテグレートしたソリューション力により、グローバルにスペースクリエーションに関する高い価値を提供する企業
インテリア商材の販売を中心とした企業から、さらなる成長を実現するために、長期ビジョン【DESIGN 2030】では、目指すべき企業像として”スペースクリエーション企業”を掲げています。2020年度より進めてきたスペースクリエーション事業モデルの明確化・強化、さらなる商品・分野・海外での成長戦略展開の必要性、そしてスペースクリエーションに留まらない新たな成長シナリオの構築を目指し、グループ全体として取り組んでいきます。
当中期経営計画においては、人の強化が最大の課題であると位置付けています。キャリア採用をさらに拡大するとともに、在籍社員の処遇改善として、給与および基本賞与のベースアップを進めます。これらの取り組みを通じ、社員の仕事に対するやりがいの向上に努め、エンゲージメント向上に向けた施策を検討・実行していきます。
従来は、長いバリューチェーンにおいて情報・DATAが分断され、受注データと物流データの連携が不足しており、目の前の情報だけで業務を行ってきました。この課題認識からバリューチェーン全体の情報を得られるよう業務方法を変革し、情報を突合・分析して取引の確実化、物流の効率化を可能とする体制づくりを進めていきます。
空間デザイン・提案力強化に向けて、専門人材としてスペースデザインおよびエンジニアの採用を拡充します。商品面ではセラミック商品やエクステリア商品といった新たな商品開発に向けた取り組みを強化し、デザイン力・ブランディング力の強化、高度化を図ります。ロジスティクス体制においても、地理的な拡大および物流配送に加えてきめ細かなサービス機能を拡充し、内装施工に関してはグループ会社と連携した施工管理体制の整備を進めます。
エクステリア事業においては、前中期経営計画において実施したインテリア事業との連携を進めるとともに、エクステリア事業自体の空間提案力を強化していきます。また、一定のシェアを持つ中部地区以外にも、関東地区等をはじめとした地理的な拡大を目指します。
海外事業では、米国、東南アジア、中国・香港という環太平洋地域における量的拡大とスペースクリエーション機能の整備・強化を図り、収益化を目指します。
社会価値の向上に関しては、環境課題として、Scope1&2におけるGHGの排出量削減に加え、Scope3におけるGHGの排出量の把握と削減の方策をより明確化し、低環境負荷商品の開発強化や、見本帳リサイクルセンターでの見本帳リサイクルの拡大、またその他商品のリサイクルの推進にも取り組みます。社会課題においてはダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進、そして社会参画活動の中心として位置付けている児童養護施設の住環境改善活動を引き続き実施します。また、支援が必要な子どもたち、開発途上国、難民等への継続的な支援を進めます。
収益力の拡大へ向けて、事業構築力のさらなる強化および空間創造に関する各機能・サービスの強化・高度化を図るため、従来の商品軸での事業部体制から地域軸を収益単位とした組織へと改編を行いました。新組織体制においては、機能担当部門およびグループ各社の位置付けも明確化しています。新たな組織体制のもと、目指すべきスペースクリエーション企業の実現に向けて着実に取り組んでいきます。
デザイン提案・商品・物流・施工の4つの機能をインテグレートし、それらをソリューション力として提供する
商品の開発・調達、空間デザインの提案、総合施工力の強化や、プロモーション・マーケティング機能なども担う
在庫・配送・物流機能というロジスティクス体制の地理的・機能的な拡充・強化を担う
4つの機能の根幹となる人的資本・デジタル資本をはじめとしたコーポレート機能の強化を担う
北米、東南アジア、中国・香港に拠点を構えるグループ各社と共に、国内同様のスペースクリエーション事業モデルの確立を担う
デザイン提案・商品・物流・施工の4つの機能をインテグレートし、ソリューション力を高めることに加え、商品・分野・地域の拡大を図ることにより持続的な成長を実現します。
社会価値においては、「地球環境」「人的資本」「社会資本」「ガバナンス」の4点から、具体的施策と目標を設定しています。中期経営計画【BX 2025】における5つの施策を着実に進めることで、経済価値の実現のみならず、社会価値の実現を目指します。
(1)地球環境
①事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減
(2)人的資本
①社員の健康と能力開発、風土改革
②ダイバーシティ&インクルージョンの推進
(3)社会資本
①コミュニティへの参画
基幹事業の質的成長による収益の拡大
デザイン力の発展的強化
国内外の建築家やデザイン会社とのコラボレーションによる空間創造をベースとした、デザインの開発を進めました。建築家の隈 研吾氏との共同開発による壁紙・床材コレクション「KAGETOHIKARI(カゲトヒカリ)」を発売、日本古来の美の表現に挑戦しました。壁紙「SHITSURAHI」シリーズでは国際的デザイン賞である「iF DESIGN AWARD 2021」を受賞しています。また、英国「Sanderson Design Group」と共同開発の「ENGLISH DESIGN AGENCY(EDA)」では、伝統的な英国のアーカイブスをアレンジし、現代の感性にマッチする新たな世界観を創出しています。
戦略的調達の推進
壁紙事業における競争⼒の強化、量的確保による安定供給、製販⼀貫体制による事業の効率化を通じた収益拡⼤などを⽬的として、国内最⼤⼿のビニル壁紙メーカー、ウェーブロックインテリアの株式を51%取得し、⼦会社化しました。他メーカーともアライアンス強化に努めており、引き続き事業強化に向けた戦略的調達を進めます。
サービス機能の拡充と高度化
事業の根幹となる物流サービスについて、在庫・出荷・配送戦略として、従来2カ所に分かれていた関西エリアの物流拠点を統合し、関西ロジスティクスセンターを新設しました。自動化・省人化を実現し、関西エリアのデリバリーのみならず、西日本の在庫拠点として機能しています。
基幹事業リソースに基づく次世代事業の収益化
海外セグメントの事業体制の再編
コロナ禍で景気の低迷が続く厳しい状況下、事業体制の再編による経営体制の強化を進めました。シンガポールを本社とするGoodrch社を100%子会社化した一方、中国市場を担うGoodrich香港の株式をサンゲツが取得し、山月堂(上海)と合わせて日本から直接経営に関わる体制を整えました。Goodrch社は東南アジア市場に資本を集中し、中国市場はサンゲツが担うという体制を明確にし、各国の市場に合わせた施策を進展させます。
スペースクリエーション事業の拡大
非住宅リニューアル市場をターゲットにスタートしたスペースクリエーション事業ですが、マンションなどの住宅市場やエクステリアセグメントにおけるスペースクリエーション事業など、事業の範囲を拡大しています。人的資本の拡充も進み、グループ全体でこの事業の強化、拡大に取り組んでいます。
社会価値の実現
見本帳リサイクルセンターの開設
年間約150万冊を発行する見本帳は、2~3年で改訂され、大部分は産業廃棄物として処分されます。この環境負荷を低減すべく、見本帳の解体・分別を行う見本帳リサイクルセンターを開設しました。今後は回収冊数や回収地域の拡大、マテリアルリサイクルの促進を進め、環境負荷の更なる低減に努めます。
デザイン力の発展的強化
商品デザイン力においては、ローコストハイクオリティをコンセプトにした壁装材やファブリックを発売するとともに、床材においては低環境負荷商品として、CO2排出量を従来品比で最大約61%削減したカーペットタイル「NT double eco」を発売しました。また、2021年4月に発売した、世界的建築家 隈研吾氏とのコラボレーションによる壁装材と床材のコレクション「KAGETOHIKARI(カゲトヒカリ)」が国際的に権威のあるデザイン賞「iF DESIGN AWARD 2022」を受賞。機能とデザインの両面において、クオリティの高い商品開発を進めています。
戦略的調達の推進
経済全体で供給問題が深刻化する中、内装材料においても、一部商品において供給制約が顕在化しています。この対応として、2021年3月に、国内量産壁紙の生産能力の20%を保有する国内最大手のビニル壁紙メーカー、クレアネイト株式会社(旧社名:株式会社ウェーブロックインテリア)をグループ会社化しました。一方で、2021年12月には同社において、設備損傷に伴う供給遅延が発生しましたが、このリカバリーをグループ会社間で連携して対応し、生産体制の回復に努めました。これを機に、安定供給の重要性とその社会的責務を再認識しており、クレアネイトの安全・安定操業はもちろん、他仕入先との関係性も強化し、サステイナブルな安定供給体制の構築に取り組んでいます。
サービス機能の拡充と高度化
2021年1月の関西ロジスティクスセンター開設により大規模在庫・配送拠点の再編は完了し、2022年3月期はきめ細かな配送体制を実現するためのサテライトセンターの設置や、地域配送網の検討・構築を行いました。施工機能については、2021年9月に東北の有力施工会社である株式会社壁装をグループ会社化し、施工力を活かした顧客との関係強化、施工力の品質向上と地理的拡大を実行しています。
海外事業の状況
厳しい状況が続く中、北米・東南アジア・香港/中国の3極体制を確立し、各地域特性に応じたプロダクトポートフォリオの強化と商品企画を進めました。北米では、サンゲツブランドの粘着剤付化粧フィルム「REATEC」の販売が拡大しています。また、グループ共通ブランドとして、日本の伝統美を取り入れた壁紙コレクション「TAKUMI」を発売し、海外グループ各社での販売を進めています。
スペースクリエーション事業の拡大
インテリアとエクステリアにおけるスペースクリエーション事業の連携を強化し、共同での展示会実施や空間提案を進めています。またレジデンシャルデザイン室・コントラクトデザイン室においても、専門人材の採用と社員の育成により、空間デザイン力が高まりつつあります。引き続き、グループ全体として“コト”のデザイン力強化に努めていきます。
空間デザイン力強化
2021年12月、関西支社センターオフィスを大阪市中央区本町に移転・新設しました。当社グループの目指す企業像、「スペースクリエーション企業」を具現化したオフィスとして、社内外の人々とともに、オープンイノベーションを生み出す空間を目指します。空間コンセプトは「MIXED-TERIOR GARDEN」。「インテリア」と「エクステリア」を取り扱うサンゲツグループならではの、“内と外”が融合した新しいオフィス空間です。コンセプト立案から空間デザインまでをサンゲツスペースクリエーション事業部が、総合内装施工をフェアトーン株式会社が担い、全工程をグループの総合力で実現しました。この空間創造力は、社外からも高い評価を受けています。
人事制度改革の実行
長期ビジョンにも掲げる「多様性のある専門人材」を登用・育成していくために、職務給制度を採り入れた新人事制度を検討、2022年4月より導入しています。組織マネジメント人材と専門人材の双方を任用できる新制度により、社員がより活躍できる社内体制を構築していきます。
各市場に特化した空間デザイン、空間提案力の増強
それぞれの市場に最適なコンセプトに基づく魅力的な空間提案として、内装インテリア事業において培ったコーディネート提案力をもとに、エクステリアとの融合、さらには家具や照明など空間を彩るさまざまな商品を含めたシーンの提案を行います。それぞれのお客さまのニーズに沿った、的確で質の高いデザイン力の強化・拡大を進めています。
広範囲な商品提案と安定供給の強化
市場起点の顧客ニーズに応じた商品開発のみならず、従来の発想に縛られない新しい商品を市場に供給するべく、商品デザイン人材の拡充や、外部・海外デザイナーとの取り組みも交えながら、デザイン・ブランディング力の強化に取り組むほか、約12,000点の商品を常備在庫し、毎年約150万冊の見本帳を市場に供給しています。この多種多様な商品群を安定的に供給するために、壁紙製造会社であるグループ会社のクレアネイトをはじめ、インテリアで約270社、エクステリアで約150社と取り引きを行い、商品調達網を構築しています。また、サンゲツの商品開発部門と海外グループ会社、および製造を担うクレアネイトが連携して商品開発を行うなど、グループ間協業によるデザイン開発にも取り組んでいます。
ロジスティクス体制の地理的・機能的な拡充・強化
約12,000点の商品を品切れなく広域に即時配送する機能として、全国8カ所の地域ロジスティクスセンター、およびよりきめ細かな配送網を構築するためのサテライトセンターの設置を各地に進めており、1日あたり約10万点の商品とサンプルの出荷を可能とする出荷体制を構築しています。また、配送体制についてはLast One Mileを実現するべく、各建築現場だけでなく、施工場所までの納品を含めた、社内における配送体制も構築しています。
大規模かつ機動力のある施工力と施工管理体制の整備
内装施工のみならず、事業主に近いポジションで空間全体を具現化する総合施工力を拡大し、元請~二次下請け施工を担える体制を構築しています。またフェアトーンにおいては、施工品質の向上策としてQuality Control部を設置、監理・工程管理・コストコントールなど、機能全般の品質向上を進めています。
中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】
(1.91MB)中期経営計画 (2017-2019) 「PLG 2019」
(1.8MB)中期経営計画 Next Stage Plan G
(1.5MB)関連リンク