中期経営計画

中期経営計画(2023-2025)【BX 2025】

"スペースクリエーション企業"の実現に向けて、サンゲツグループは2030年を見据えたSangetsu Group長期ビジョン【DESIGN 2030】を見直すとともに、2025年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画(2023-2025)【BX 2025】を策定しました。

※BX=Business Transformation

課題認識

2014年以降、3度の中期経営計画を通じた諸施策の実行により、2022年度には大幅な収益向上を実現しました。この一方、さらなる成長に向けては、以下のとおりさまざまな外部・内部課題を認識しています。

前中期経営計画【D.C. 2022】を終えての課題認識

外部環境

  1. 高いシェアをもつ壁紙等、既存主力商品の日本市場の数量停滞
  2. 施工技能者の高齢化、施工力不足の顕在化
  3. 小口・重量物配送における物流2024年問題の現実化
  4. 原材料費、物流費、人件費の継続的上昇
  5. 通常価格帯でのリサイクル商品および低環境負荷商品への要請

内部課題

  1. 限定的な取扱商品
  2. 独自の商品デザイン力と裏付けとなるブランディング力の不足
  3. 商品・物流・施工・販売・経営を統合管理するITシステム構築の未整備
  4. 空間デザイン、施工管理、見積・調達、提案における専門力の不足
  5. 地理的・規模的に限定されたエクステリア事業
  6. 海外事業会社の空間デザイン提案力、短納期供給力、施工支援力、商品デザイン力の不足、強い事業モデルの不足
  7. 事業転換の実行による販管費の拡大
  8. 社員意識変革、社員エンゲージメント、コンプライアンス、正規社員比率の低下
  9. 教育研修を含む人的資本への低投資

目指す企業像:スペースクリエーション企業

人的資本とデジタル資本を基盤としたデザイン力とクリエイティビティによる4機能、すなわち

  1. 1それぞれの市場に最適なコンセプトに基づく魅力的な空間デザイン提案機能
  2. 2高度な企画・開発・調達力を持ち、広範囲な商品を提案するスペース材料提供機能
  3. 3品切れなく広域に即時配送を可能とする在庫・配送・物流機能
  4. 4さまざまな事業、人的関係、企業連携を通じての規模と総合性・機動性のある施工機能

これらを有機的にインテグレートしたソリューション力により、グローバルにスペースクリエーションに関する高い価値を提供する企業

目指すスペースクリエーション企業像簡略図

インテリア商材の販売を中心とした企業から、さらなる成長を実現するために、長期ビジョン【DESIGN 2030】では、目指すべき企業像として”スペースクリエーション企業”を掲げています。2020年度より進めてきたスペースクリエーション事業モデルの明確化・強化、さらなる商品・分野・海外での成長戦略展開の必要性、そしてスペースクリエーションに留まらない新たな成長シナリオの構築を目指し、グループ全体として取り組んでいきます。

中期経営計画【BX 2025】の基本方針と施策

基本方針

中期経営計画 (2023 - 2025) 【BX 2025】 ー 次の飛躍に備える3年間 ー ※ BX = Business Transformation
前中期経営計画【D.C.2022】期間中にさまざまな施策を進めた結果として、その最終年度である2022年度には収益の大幅な伸長を達成しました。一方でこの成果は、私たちがさらに大きく成長するためには、スペースクリエーション事業の先へと、より大きな未来像を描く必要があるという課題の再確認にもつながりました。この認識のもと、中期経営計画 (2023 - 2025)【BX 2025】の3年間は、前中期経営計画を引き継いで収益基盤を堅固なものとし、次の飛躍に備える期間であると位置付け、方針および各施策を策定しました。
基本方針
スペースクリエーションの価値を高めるソリューション力を強化・拡充し、強固な収益力と成長力を持つスペースクリエーション企業へと転換、主要商品・市場の事業拡張に加え、商品の拡充、エクステリア事業・海外事業の拡大を実行する。
また、さらなる長期的成長を可能ならしめる事業を展開するべく、スペースオペレーション事業の可能性を検討する。

施策

  1. 1
    人的資本の拡大・
    高度化・活躍支援
    1. (1)組織別人事担当者の配置
    2. (2)多様性のあるキャリア採用の大幅増と新卒採用拡大
    3. (3)専門性と事業構築力強化のための教育・研修拡充
    4. (4)処遇改善と働く環境整備
    5. (5)非正規社員比率の改善とダイバーシティの推進
  2. 2
    デジタル資本の
    蓄積・分析・活用
    1. (1)事業モデル転換に向けての基幹システムのリノベーション
    2. (2)空間デザイン提案を含むバリューチェーン変革のための情報・DATA活用推進
    3. (3)代理店との協業による商流・物流データ活用を通じての営業・物流の効率化、確実化
    4. (4)業務改善と現場業務のデジタル化推進
  3. 3
    ソリューション
    提供力の強化
    1. (1)各々の市場に特化した空間デザイン、空間提案力の増強
    2. (2)取扱商品の拡大、高度化、ブランディング強化
    3. (3)商品調達体制の整備・強化
    4. (4)ロジスティクス体制の地理的・機能的な拡充、強化
    5. (5)大規模かつ機動力のある内装施工力と施工管理体制の整備
  4. 4
    エクステリア事業と
    海外事業
    1. (1)エクステリア事業の地理的・規模的拡大、高度化
    2. (2)海外事業におけるスペースクリエーション事業への転換のための商品・空間デザイン力強化、短納期供給体制構築、施工支援力強化、市場に応じたきめ細かな営業体制構築
  5. 5
    社会価値の向上
    1. (1)単体および連結GHG (Scope1&2) 排出量削減
    2. (2)GHG (Scope3) 排出量の把握と削減方策の明確化
    3. (3)低環境負荷商品の開発強化
    4. (4)見本帳リサイクルセンターの拡大含めリサイクルの推進
    5. (5)ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進
    6. (6)児童養護施設の住環境改善活動の推進
    7. (7)支援が必要な子どもたち、開発途上国、難民への継続的支援

施策1.人的資本の拡大・高度化・活躍支援

当中期経営計画においては、人の強化が最大の課題であると位置付けています。キャリア採用をさらに拡大するとともに、在籍社員の処遇改善として、給与および基本賞与のベースアップを進めます。これらの取り組みを通じ、社員の仕事に対するやりがいの向上に努め、エンゲージメント向上に向けた施策を検討・実行していきます。

施策2.デジタル資本の蓄積・分析・活用

従来は、長いバリューチェーンにおいて情報・DATAが分断され、受注データと物流データの連携が不足しており、目の前の情報だけで業務を行ってきました。この課題認識からバリューチェーン全体の情報を得られるよう業務方法を変革し、情報を突合・分析して取引の確実化、物流の効率化を可能とする体制づくりを進めていきます。

施策3.ソリューション力の強化

空間デザイン・提案力強化に向けて、専門人材としてスペースデザインおよびエンジニアの採用を拡充します。商品面ではセラミック商品やエクステリア商品といった新たな商品開発に向けた取り組みを強化し、デザイン力・ブランディング力の強化、高度化を図ります。ロジスティクス体制においても、地理的な拡大および物流配送に加えてきめ細かなサービス機能を拡充し、内装施工に関してはグループ会社と連携した施工管理体制の整備を進めます。

施策4.エクステリア事業と海外事業

エクステリア事業においては、前中期経営計画において実施したインテリア事業との連携を進めるとともに、エクステリア事業自体の空間提案力を強化していきます。また、一定のシェアを持つ中部地区以外にも、関東地区等をはじめとした地理的な拡大を目指します。
海外事業では、米国、東南アジア、中国・香港という環太平洋地域における量的拡大とスペースクリエーション機能の整備・強化を図り、収益化を目指します。

施策5.社会価値の向上

社会価値の向上に関しては、環境課題として、Scope1&2におけるGHGの排出量削減に加え、Scope3におけるGHGの排出量の把握と削減の方策をより明確化し、低環境負荷商品の開発強化や、見本帳リサイクルセンターでの見本帳リサイクルの拡大、またその他商品のリサイクルの推進にも取り組みます。社会課題においてはダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進、そして社会参画活動の中心として位置付けている児童養護施設の住環境改善活動を引き続き実施します。また、支援が必要な子どもたち、開発途上国、難民等への継続的な支援を進めます。

新組織体制への移行

収益力の拡大へ向けて、事業構築力のさらなる強化および空間創造に関する各機能・サービスの強化・高度化を図るため、従来の商品軸での事業部体制から地域軸を収益単位とした組織へと改編を行いました。新組織体制においては、機能担当部門およびグループ各社の位置付けも明確化しています。新たな組織体制のもと、目指すべきスペースクリエーション企業の実現に向けて着実に取り組んでいきます。

新組織体制の組織図

事業部門

デザイン提案・商品・物流・施工の4つの機能をインテグレートし、それらをソリューション力として提供する

スペースプランニング部門

商品の開発・調達、空間デザインの提案、総合施工力の強化や、プロモーション・マーケティング機能なども担う

ロジスティクス部門

在庫・配送・物流機能というロジスティクス体制の地理的・機能的な拡充・強化を担う

コーポレート部門

4つの機能の根幹となる人的資本・デジタル資本をはじめとしたコーポレート機能の強化を担う

海外事業部門

北米、東南アジア、中国・香港に拠点を構えるグループ各社と共に、国内同様のスペースクリエーション事業モデルの確立を担う

ソリューション力の強化に向けた戦略

デザイン提案・商品・物流・施工の4つの機能をインテグレートし、ソリューション力を高めることに加え、商品・分野・地域の拡大を図ることにより持続的な成長を実現します。

ソリューション力の強化とさらなる成長のための戦略簡略図
  1. 主要商品・事業の収益維持・向上:壁紙、塩ビ系のシート床材等
    安定的なシェアと収益性を確保できている商品群は、その維持を前提として、さらなる向上を図る。
  2. 既存中型商品の強化:硬質塩ビシート「リアテック」、ガラスフィルム「クレアス」等
    高利益率でありながら低シェアに留まっている商品や、今後市場の伸長が望める商品を中型商品と位置付け、この数量拡大と収益性の拡大を進める。
  3. 新商品の取り組み(新市場開拓):大判セラミックタイル「GARZAS(ガルザス)等」
    新商品の開発強化・販売拡大、および新規商品の開発を検討し、新たな収益獲得商品の開発を進める。
  4. 国内エクステリア分野の強化
    エクステリア業界における提案力と商品力を強化し、バリューチェーンにおけるポジションの強化、それによる商品拡販と事業拡大による収益獲得手段の多様化を図る。
  5. 海外事業の収益拡大
    飛躍的成長が見込めない国内市場に対し、成長が期待される海外市場において、収益化と事業の拡大を図る。

実現を目指す社会価値と経済価値

経済価値における定量⽬標(KPI)

連結売上高
1,950億円
連結営業利益
205億円
連結当期純利益
145億円
ROE
14.0%
ROIC
14.0%
CCC
65
中期経営計画(2023-2025)【BX 2025】の売上高目標と営業利益目標グラフ。

社会価値における定量目標(KPI)

社会価値においては、「地球環境」「人的資本」「社会資本」「ガバナンス」の4点から、具体的施策と目標を設定しています。中期経営計画【BX 2025】における5つの施策を着実に進めることで、経済価値の実現のみならず、社会価値の実現を目指します。

2026年3月期目標

(1)地球環境

  ①事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減

GHG排出量
単体60%削減(2018年度比)
GHG排出量
連結28%削減(2021年度比)
使用エネルギー量
単体6%削減(2018年度比)
リサイクル率
(有効利用率)
単体90%以上

(2)人的資本

  ①社員の健康と能力開発、風土改革

非喫煙率
単体85%以上
人的資本投資額
単体7億円(3年間合計)
キャリア採用者数
単体6080(3年間合計)
エンゲージメントスコア
単体偏差値58.0(A)

※株式会社リンクアンドモチベーション社の提供するサービス「モチベーションクラウド」によるスコア

  ②ダイバーシティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率
単体25%以上(2026年4月1日時点)
障がい者雇用率
単体4.0%以上
男性育休取得率
単体100%(2週間以上)

(3)社会資本

  ①コミュニティへの参画

児童養護施設改修活動
連結年間50
マッチングギフト
連結18,000 S-mile
外部団体への寄付を含めた社会貢献活動費
連結年間経常利益の0.30.5%目途(寄付は特定の団体に継続的に実施)

進捗状況

業績

2024年3月期実績値:売上高1,898.5億円、営業利益191.0億円 2026年3月期目標値:売上高1,950億円、営業利益205億円

※2023年度の期首より、報告セグメントを4区分から3区分に変更したため、
2023年3月期の実績は変更後のセグメント区分に組み替えた参考数値となります

主な取り組み

空間デザイン提案機能

空間総合提案機能の強化に向けた人材拡充

住宅・非住宅を問わず幅広い分野に携わる当社ならではの、空間デザイン提案機能の強化に向けて、空間設計・企画を行うスペースデザイン人材のキャリア採用および育成を積極的に推進しています。
スペースデザインユニットでは、2025年度にスペースデザイン人材を120名に拡大することを目標に、多様な物件への高品質な空間創造に関するソリューション提案ができる体制の構築を進めています。

スペース材料提供機能

空間総合提案を支えるプロダクトの強化を推進

市場起点の顧客ニーズに応じた機能性商品や低環境負荷商品の拡充に加え、外部・海外デザイナーとの取り組みも交えながら、デザイン・ブランディング力の強化に取り組んでいます。
その取り組みの一環として、イギリスの老舗インテリアメーカーSanderson Design Groupと共同で開発したライセンスブランド「MORRIS CHRONICLES」を新たに発売したほか、リサイクル材を利用した壁紙「MEGUReWALL(メグリウォール)」が、世界的に権威のあるデザイン賞の一つ「iFデザインアワード 2024」を受賞しました。また、サンゲツ単体のみならず、海外グループ会社や製造を担うクレアネイトと連携して商品開発を行うなど、グループ間協業によるデザイン開発にも取り組んでいます。

在庫・配送・物流機能

ロジスティクス部門の人員強化、配送品質・安全の向上

物流機能を拡大させるとともに、配送品質および安全性の向上に資する取り組みを実行しています。その取り組みの一環として、キャリア採用を含むロジスティクス人材の強化を行い、適切な労務管理の徹底や統括部門への安全管理担当の設置等を進め、組織力の強化を進めています。
また、ラストワンマイルに対応する自社個配網であるサービスクルー便を拡充し、拠点間輸送体制の再構築、既存便の集約等による効率化も進め、配送におけるサービスレベルの向上を図っています。

施工力

総合内装施工力強化に向けたエンジニア人材の拡充

総合内装施工の強化に向けて、見積り・調達・施工管理を行うエンジニア人材の拡充を進めており、2023年度までに12名を採用しました。2025年度にはこれを25名にまで拡充する計画であり、安全管理や法規制への対応基盤を構築し、デザイン力・ソリューション力を強化します。