気候変動

気候変動に関する考え方

地球温暖化による気候変動は、人間の生活や自然の生態系にさまざまな影響を与えています。その地球温暖化の主たる原因は温室効果ガス(以下、GHG)であり、GHGを削減させることは企業における社会的責任であると考えています。
サンゲツグループから排出されるGHGは、主に⼯場、事務所、倉庫にて使用する天然ガス・都市ガス・灯油、営業車両等で使用するガソリン・軽油等(※1 Scope1)、また電気を起源とした温室効果ガス(※2 Scope2)で構成されております。GHGを削減させるためには、エネルギーを最小限に無駄なく有効活用することが必要であり、エネルギー削減を推進することが地球温暖化防止、地球資源の有効活用に繋がると考えております。
また、当社の事業活動に伴って排出されるGHGはScope3が9割以上を占めており、サプライチェーンを含めたGHG排出量削減の取り組みがより重要と認識しています。
特に、全体の8割以上を占めるカテゴリ1(購⼊した製品、サービス)での排出状況を可視化すべく、仕⼊先へのエネルギー調査およびエンゲージメントを通じ、排出量削減に取り組んでいます。

  • ※1:Scope1…サンゲツの事業活動による排出、燃料使用に伴う直接排出
  • ※2:Scope2…外部から購入する電力や熱の使用に伴う間接排出

サンゲツグループのGHG排出量

2023年度実績

Scope1
(t-CO2e)

Scope2
(t-CO2e)

Scope3
(t-CO2e)

売上構成比
(%)

インテリア

サンゲツ

1,172

3,699

497,848

84

クレアネイト

9,138

6,945

フェアトーン

141

24

サンゲツヴォ―ヌ

45

5

サンゲツ沖縄

16

54

壁装

28

8

-

-

Koroseal Interior Products Holdings, Inc

1,537

2,216

-

13

Goodrich Global Holdings Pte., Ltd

200

386

-

Sangetsu Goodrich China Co.,Ltd

11

30

-

Goodrich Global Limited

0

18

-

エクステリア

サングリーン

278

188

-

3

物流

クロス企画

687

10

-

-

合計

13,253

13,583

497,848

100

  • 2023年度時点の国内・海外グループ会社を全て集計しています。
  • ※スペースクリエーション事業を含む

気候変動に関する目標・実績

GHG排出量(Scope1,2)

サンゲツグループGHG排出量削減計画

サンゲツグループGHG排出量削減計画

サンゲツグループ
基準年度2021年度:30,477t-CO2e

2023年度 目標 26,210t-CO2e 2021年度⽐
14%削減
実績 26,836t-CO2e 2021年度⽐
12%削減
2025年度 目標 21,943t-CO2e 2021年度⽐
28%削減
2029年度 目標 13,714t-CO2e 2021年度⽐
55%削減

サンゲツ単体GHG排出量削減計画

サンゲツ単体GHG排出量削減計画

サンゲツ単体
基準年度2018年度:8,118t-CO2e

2023年度 目標 4,871t-CO2e 2018年度⽐
40%削減
実績 4,871t-CO2e 2018年度⽐
40%削減
2025年度 目標 3,247t-CO2e 2018年度⽐
60%削減
2029年度 目標 カーボンニュートラル

エネルギー消費量

サンゲツグループエネルギー消費量削減計画

サンゲツグループエネルギー消費量削減計画

サンゲツグループ
基準年度2021年度:532,410GJ

2023年度 目標 521,762GJ 2021年度⽐
2%削減
実績 580,869GJ 2021年度⽐
9%増加
2025年度 目標 511,114GJ 2021年度⽐
4%削減

サンゲツ単体エネルギー消費量削減計画

サンゲツ単体エネルギー消費量削減計画

サンゲツ単体
基準年度2018年度:148,151GJ

2023年度 目標 142,225GJ 2018年度⽐
4%削減
実績 121,626GJ 2018年度⽐
18%削減
2025年度 目標 139,262GJ 2021年度⽐
6%削減

TCFDへの対応

持続可能な社会の実現に、企業としてより主体的に参画するため、2021年10月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同を表明しました。環境負荷の低減に向け、対応を進めています。

ガバナンス

気候変動への対応は、社⻑を委員⻑とするESG委員会のもとに設置した環境分科会や社会資本分科会で⾏っており、取り組みを推進しています。特に気候変動を主要テーマとして取り扱う環境分科会には、環境施策の企画・⽴案を担うESG推進課、エネルギー使⽤を伴うファシリティや⾞両管理を担う総務部門、商品開発を担う各プロダクトユニット、ロジスティクスセンターを運営するロジスティクス部門、営業を担う事業部門などさまざまな部署が参加しています。分科会では、事業活動によるGHG排出の環境負荷といったマテリアリティに対し、中⻑期的に掲げる目標の達成に向けた段階的目標を設定し、削減計画の策定や施策の検討、実⾏といった気候変動への対応を進めています。これらの取り組みは四半期ごとに進捗状況をレビューし、取締役会にて年2回の進捗状況に関する管理・監督を⾏う仕組みになっています。
また、当社は、気候変動リスクへの対応として、2022年に社長を委員長とする全社リスク管理委員会のもとに「気候変動リスク部会」を新設し、組織的な管理体制を構築しました。当該部会のもと、気候変動に関する各リスクを、法規制・技術・市場・評判といった移行リスクと、急性・慢性的といった物理的リスク等の区分に沿って分析し、スペースプランニング部門・ロジスティクス部門・事業部門と緊密に連携し、具体的な管理指標を設定したうえで、リスクの監視と対応を行っていきます。

戦略

当社では、気候変動が与える影響を経営戦略に反映させるため、TCFDの枠組みに沿った戦略策定を進めており、最初のステップとして、気候変動によるリスクと機会の特定を実施しました。気候変動リスクは全社重要リスクの一つと位置付けており、2022年度には「全社リスク管理委員会」において「気候変動リスク部会」を設定し、組織的な管理体制を構築しました。社⻑を委員⻑とする「全社リスク管理委員会」では、当社グループ全体の企業価値の維持・向上に努め、リスクの未然防⽌および発生時の影響最⼩化に向けた取り組みを推進しています。当該部会のもと、気候変動に関する各リスクを政策や法規制、市場における移⾏リスクと、異常気象や気温上昇に伴う物理的リスクの区分に沿って分析し、リスクの監視と対応を⾏っています。

リスクと機会

リスク/機会

項目

移行リスク

法規制

  • GHG排出やプラスチックに対する規制強化による収益の圧迫

技術

  • 脱炭素・再生材使用・リサイクル技術の不足

市場

  • 脱炭素技術やリサイクル設備を導入することでの設備コスト増
  • リサイクル可能商品の回収にかかるコストの増加
  • 脱炭素(CO2フリー)・再生原材料への切換による原価アップ
  • 事業活動に伴う排出のオフセットによるコスト増
  • 消費者行動の変化による販売機会の喪失
    ・・・既存製品のニーズ減退
    ・・・脱炭素ニーズ増加(対応製品の不足)

評判

  • 脱炭素製品、回収・リサイクルできる製品が提供できないことによる評判低下
  • サンゲツブランドの指名買いの低下・ESG投資家からの失望

物理リスク

急性

  • 台風やゲリラ豪雨など自然災害(洪水や浸水、強風)の激甚化による、
    安定供給(仕入~納品・施工迄)に資する各機能の棄損と停止

慢性

  • 平均気温上昇に伴う空調などの稼働コスト増大

機会

資源の効率性

  • 資源循環することによる資源の効率性向上

エネルギー源

  • 商品・見本帳における低炭素エネルギー(再生可能エネルギーなど)での製造

製品/サービス

  • 商品・見本帳を低炭素化することによる環境配慮対応
  • 資源循環することによる環境配慮対応

市場

  • 低炭素商品・見本帳の拡充による環境配慮ニーズへの対応
  • 再生材使用/リサイクル可能商品の拡充による環境配慮のニーズへの対応

強靭性
(レジリエンス)

  • 商品・見本帳の低炭素化といったニーズの変化に対する、
    よりサステイナブルな商品・サービス提供
  • バージン材等の資源枯渇リスクに対応する資源循環フロー構築、
    サステイナブルな商品・サービスの提供

指標と目標

指標

2023年度実績

2025年度目標

2029年度目標

GHG排出量
(Scope1,2)

連結

12%削減

28%削減(2021年度比)

55%削減(2021年度比)

単体

40%削減

60%削減(2018年度比)

カーボンニュートラル

エネルギー消費量

連結

9%増加

4%削減(2021年度比)

単体

18%削減

6%削減(2018年度比)

カーボンニュートラル実現に向けて

地球温暖化による気候変動は、人間社会と生物多様性を含む生態系に大きく影響するものであるとIPCC※の報告にあり、その地球温暖化の主たる原因はGHG排出量の増加と言われています。パリ協定では、途上国を含む全ての主要排出国にGHG排出量削減を求め、日本政府は2050年の排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目標としています。
こうした中で、企業としてその土台ともいえる環境の保全は必須の取り組みであるという認識のもと、サンゲツ単体では2030年3⽉期カーボンニュートラルを目標に設定しました。
当社のGHG排出量削減の取り組みは、これまでも事務所やロジセンターの省エネ設備更新、営業車両のハイブリッド化やエコドライブの推進、CO2排出係数の少ない新電力への切替などを行ってきましたが、2030年の目標達成に向けて、省エネ、創エネ、再エネ、オフセットの4つの施策を中心に削減に取り組んでいきます。省エネは自社物件の空調設備更新、創エネは太陽光発電設備の設置、再エネでは営業車両のハイブリッド化およびEV化、再エネ電力メニューへの切替、オフセットではクレジットの購⼊といった各施策を計画しています。それぞれの施策を着実に実施し、2030年までにGHG排出量の実質ゼロに向けて取り組んでいきます。

※IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル。
世界中の科学者の協力のもと、定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見の評価を提供している組織。

GHG排出削減 ロードマップ(サンゲツグループ)

サンゲツグループのGHG排出削減 ロードマップです。施策の例として省エネは空調設備更新・⾞両電動化、創エネは太陽光発電設備設置、再エネ・電⼒証書は再エネ電⼒メニュー切り替え、電⼒証書の購⼊、クレジットはクレジットの購⼊を⾏っています。

グループ全体のGHG排出量削減に向けた取り組み

グループ全体でのGHG排出量(Scope1,2)の内訳

グループ全体でのGHG排出量(Scope1,2)の内訳

当社では、グループ全体におけるGHG排出量を算定し、削減に取り組んでいます。グループ全体では、商品の製造機能を持つ会社が総排出量の約8割を占めており、環境負荷低減を実現するためには、製造部分の排出削減を進める必要があります。グループ全体での2030年を⾒据えた具体的な目標・計画を⽴て、事務所やオフィスの電⼒使⽤においては再エネ電⼒への切替、製造にかかるエネルギーにおいては省エネ設備への更新といった、各社の事業の特徴に合わせた削減施策を実⾏していきます。

GHG排出量/エネルギー消費量の削減に向けた取り組み

【省エネ】 社有車両における低燃費への推進

ガソリン使⽤量の推移および低燃費⾞(HV・EV)⽐率

ガソリン使⽤量の推移および低燃費⾞(HV・EV)⽐率

2015年から「エコドライブ活動」をスタートし営業車両においては、ハイブリッド車両を中心とする環境対応/低燃費車への全面移行を進めており、2023年度時点で低燃費⾞両移⾏⽐率は88%となります。
また、全営業車両にGPSを利用したSmartDrive Fleetを装備させ、急加速・急ブレーキ・スピード超過等の情報を本社にて収集し、安全管理とともに温室効果ガスの削減に繋がるエコドライブを強化しています。
2018年度には、エコドライブ活動コンクール(主催:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)の一般部門において、最高賞となる「環境大臣賞」を受賞しました。

SmartDrive Fleetの仕組み

SmartDrive Fleetの仕組み図です。車載機を導入・目標の設定をし、運転中のデータを事務所内のパソコンで把握できるようにし、エコドライブ管理者による運転指導を行うというフローになっています。

【創エネ】 太陽光自己託送システムで創エネを促進

【創エネ】 太陽光自己託送システムで創エネを促進

2024年2⽉より、中部LCⅡの太陽光発電設備で発電された電⼒の一部を、愛知県名古屋市にある本社・中部支社へ送る⾃己託送を開始しました。⾃己託送とは、⾃社が保有する施設で発生した再生可能エネルギーを、電⼒会社の送配電網を通じ、遠隔地にある⾃社施設で使⽤する仕組みです。中部LCⅡの太陽光パネルで年間1,230MWhの発電量を⾒込んでおり、総発電量の約53%を中部LCⅡと隣接する中部LCⅠで⾃家消費しています。さらに、このたびの⾃己託送の開始により、総発電量の約36%をLCⅡから離れた名古屋本社・中部支社で使⽤することが可能になりました。これにより、サンゲツ単体では約12%の電⼒使⽤削減につなげています。

【省エネ】 自社物件の修繕計画に合わせた省エネ設備の導⼊

当社の社屋の多くは⾃社物件です。この⾃社物件の計画的修繕に合わせて設備の省エネ化を進めています。
修繕計画に伴う設備の更新においては、各支社の照明・誘導灯のLED化、エレベーター主要備品交換に伴う省エネ化で約230t-CO2eの削減、本社の誘導灯のLED化で約4t-CO2eの削減、本社のエレベーターの主要備品交換に伴う省エネ化で約5t-CO2eの削減、空調設備の更新では、関⻄支社で約170t-CO2e、中国四国支社で約430t-CO2e、九州支社で約130t-CO2e削減し、東京支社では設備更新を実施しました。今後も、建物設備修繕計画に合わせて省エネ設備を導⼊し、GHG削減活動を進めていきます。

各支社の空調設備更新台数と空調設備更新によるGHG排出量削減率のグラフです。中国四国支社・LCは空調設備315台更新、GHG排出量は58%削減となり、関西支社・LCは空調設備256台更新、GHG排出量40%削減、九州支社・LCは空調設備209台更新、GHG排出量38%削減となっています。

【再エネ】 電力調達におけるGHG排出量削減

当社のScope1,2におけるGHG排出量のうち、約7割が電気使用によるものです。GHG排出量の削減にあたっては、電気使用量の削減だけではなく、GHG排出量の少ない電気を購入することもGHG排出量を削減する1つの手段と考えています。
当社では2016年1月より、電気を多く使う高圧電力の拠点を、CO2排出係数の少ない電力会社からの供給に切り替えを行っています。
発電した電⼒の別拠点での利⽤(⾃⼰託送)、電⼒調達における再⽣可能エネルギー電⼒メニューへの切替を開始し、CO2フリー電⼒を使⽤した事業所は2024年3⽉末時点で8拠点となりました。

【省エネ】 電気使用効率の向上

設備等を更新するハード面での取り組みだけでなく、運用によってエネルギーを削減するソフト面での対策も推進しています。自社製品である遮熱フィルムをガラス面に施し空調効率を向上、またデマンドコントローラー導入により最大電力の制御、冷暖房温度の上げ下げや、運転時間の短縮等の空調管理の厳密化を実施しています。 2018年度においては、クラウド化によるサーバーの削減、省電力タイプのパソコンの全社導入などのエネルギー削減により、事業所・ロジセンターでのCO2の排出削減を進めています。

Scope3への対応

グループ全体でのGHG排出量(Scope1,2,3)の内訳

グループ全体でのGHG排出量(Scope1,2,3)の内訳

Cat1:購⼊した製品サービス
Cat4:輸送、配送(上流)
Cat9:輸送、配送(下流)

当社では、事業活動が及ぼす環境影響を抑制すべく、2017年度よりサプライチェーン全体におけるGHG排出量「Scope3」の算定を開始しました。サプライチェーンにおけるCO2排出量を見える化することで、GHG排出量の継続的な削減に貢献していきます。

Scope3のデータはこちら

サプライチェーンにおけるGHG排出量の把握

当社では2017年度よりサプライチェーン全体におけるGHG排出量を算定・開示しています。当社のGHG排出量はScope1,2は僅かである一方、製品製造に伴うScope3(カテゴリ1:購⼊した製品・サービス)では約9割を占めており、ファブレスを主とする当社にとって、サプライチェーン全体のGHG排出量削減を進めるには、仕⼊先と協業した削減取り組みが不可⽋であると考えています。
ただ、従来の算定方法はサプライチェーン全体の仕⼊額に排出係数を掛け合わせる簡易算定であり、仕⼊先の削減努⼒は反映されない方法であるため、2020年度より仕⼊先ごとのエネルギーデータを集計し、個別にGHG排出量を把握する取り組みを開始しました。
今後はサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を目指すとともに、GHG排出など環境負荷の⼩さい仕⼊先からの調達を積極的に⾏い、⻑期安定的な取引関係の構築を目指していきます。