
地球温暖化による気候変動は、人間の生活や自然の生態系にさまざまな影響を与えています。その地球温暖化の主たる原因は温室効果ガス(GHG)であり、このGHGを削減することは企業の社会的責任であると考えています。当社はパリ協定の趣旨と目標に賛同し、パリ協定に沿ったGHG排出量の削減目標を設定しています。具体的には、GHG排出量に関する削減目標を、2029年度にグループ全体で55%削減(2021年度比)、サンゲツ単体でカーボンニュートラルと掲げており、目標達成に向けたさまざまな施策を推進しています。Scope1,2においては、省エネと、可能な限り自社でエネルギーを創出する創エネに注力し、計画的な再生可能エネルギーへの切替と残存する排出量のオフセットにより、目標達成を目指します。
また、当社の事業活動によるGHG排出の9割以上がScope3に該当しており、サプライチェーン全体でのGHG排出量削減の取り組みがより重要となっています。特に、全体の8割以上を占めるカテゴリ1(購入した製品、サービス)での排出状況を可視化するため、仕入先へのエネルギー調査やエンゲージメントを通じて、排出量削減に取り組んでいます。
サンゲツグループGHG排出量

| 2024年度 | 目標 | 24,077t-CO2e | 2021年度⽐ 21%削減 |
|---|---|---|---|
| 実績 | 23,629t-CO2e | 2021年度⽐ 22.5%削減 |
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| 2025年度 | 目標 | 21,943t-CO2e | 2021年度⽐ 28%削減 |
| 2029年度 | 目標 | 13,714t-CO2e | 2021年度⽐ 55%削減 |
サンゲツ単体GHG排出量

| 2024年度 | 目標 | 4,059t-CO2e | 2018年度⽐ 50%削減 |
|---|---|---|---|
| 実績 | 4,060t-CO2e | 2018年度⽐ 50%削減 |
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| 2025年度 | 目標 | 3,247t-CO2e | 2018年度⽐ 60%削減 |
| 2029年度 | 目標 | カーボンニュートラル | |
サンゲツグループエネルギー消費量

| 2024年度 | 目標 | 516,438GJ | 2021年度⽐ 3%削減 |
|---|---|---|---|
| 実績 | 559,768GJ | 2021年度⽐ 8.4%増加 |
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| 2025年度 | 目標 | 511,114GJ | 2021年度⽐ 4%削減 |
サンゲツ単体エネルギー消費量

| 2024年度 | 目標 | 140,743GJ | 2018年度⽐ 5%削減 |
|---|---|---|---|
| 実績 | 117,339GJ | 2018年度⽐ 20.8%削減 |
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| 2025年度 | 目標 | 139,262GJ | 2021年度⽐ 6%削減 |
当社は、気候変動対策を経営の重要課題と捉え、2025年3月に「SBT(Science Based Targets)イニシアティブ」に対してコミットメントレターを提出しました。国際的な水準に基づいた温室効果ガス削減目標の認定取得および、サプライチェーン全体で排出されるGHG削減に貢献する取り組みを推進していきます。
当社は、より中長期的な視点でESG活動を推進するため、ESG推進課が所属するコーポレート部門の担当執行役員の基本報酬における貢献評価倍率に、GHG排出削減目標の達成状況を反映させています。これにより、GHG排出削減の取り組みと経営層のインセンティブを連動させ、サステナビリティ経営の強化を図ります。
気候変動への対応は、社長を委員長とするESG委員会のもとに設置した環境分科会が行っています。環境分科会の構成は、環境施策の企画・立案・実行を担うコーポレート部門、商品開発・調達を担うスペースプランニング部門、物流・配送を担うロジスティクス部門、営業を担う事業部門などさまざまな部門が参加しています。分科会では、気候変動に関するマテリアリティに対し、削減計画の策定、施策の検討や実行といった対応を進めています。これらの取り組みは四半期ごとに進捗状況をレビューし、取締役会にて年2回の進捗状況に関する管理・監督を行う仕組みとしています。取締役会においては、取締役に求められるスキルとして”サステナビリティ・ESG”を掲げ、気候変動をはじめとする環境分野に対する監督機能が発揮される体制を構築しています。

当社では、気候変動による将来への不確実な影響に対応するため、TCFDが提言するシナリオ分析を実施しました。
今後は、対象事業のさらなる拡大や、リスク・機会の網羅性の向上、シナリオ分析の精緻化などにも取り組んでいきます。
| 気温上昇推定値 | 1.5℃ | 4℃ |
|---|---|---|
| 採用シナリオ | SSP1-1.9 | SSP5-8.5 |
| 採用理由 | 当社グループ事業の大半を占める日本が掲げる2050年ネット・ゼロ(1.5°C目標)に整合したシナリオであり、移行リスクが高い | 最も極端な状況を想定するため、物理的な影響が最も大きいシナリオを採用 |
| 対象事業 | サンゲツ単体の国内インテリアセグメント ・壁装材・床材・ファブリック |
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| 分析時間軸 | ~2030年 | |
SSP:(Shared Socioeconomic Pathways)共通社会経済経路
財務影響度:小(10億円未満)、中(10億円以上50億円未満)、大(50億円以上)
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項目 |
内容 |
財務への影響 |
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1.5℃ |
4℃ |
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移行リスク |
法規制 |
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小 | |
|---|---|---|---|---|
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市場 |
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中 | ||
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大 | |||
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小 | |||
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物理リスク |
急性 |
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小 | |
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小 | |||
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機会 |
製品 |
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大 | |
将来的に、今回分析したどちらのシナリオが訪れても、適切な対応を取り、持続的な成長を実現できるよう、分析結果をもとに導き出した対策を実施していきます。
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シナリオ |
分析結果 |
対策 |
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1.5℃ |
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|---|---|---|
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4℃ |
気温上昇に伴う台風やゲリラ豪雨により、供給機能の停止や保有施設の改修・BCP対応コスト増加のリスクが小さいながらもあると計算された |
BCP体制の構築(建物の災害対策実施、原材料購入先の複数社化等のサプライチェーンのリスクマネジメント強化) |
当社では、気候変動への対応をマテリアリティとして選定し、ESG委員会での活動を通じてこれらの改善に向けたPDCAサイクルを回しています。各分科会の取り組みの評価においては、年4回のESG委員会でのレビューを通じ、継続的な改善と課題の修正・追加を行っています。
また当社は、コーポレートガバナンスに係る各種委員会の一つとして、全社リスク管理委員会を設置し、事業活動におけるリスクを定期的に洗い出し、重要リスクの特定とその管理体制の強化を行っています。本リスク管理体制の中で、気候変動リスクを主要リスクとして取り扱っています。
地球温暖化による気候変動は、人間社会と生物多様性を含む生態系に大きく影響するものであるとIPCC※の報告にあり、その地球温暖化の主たる原因はGHG排出量の増加と言われています。パリ協定では、途上国を含む全ての主要排出国にGHG排出量削減を求め、日本政府は2050年の排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目標としています。
こうした中で、企業としてその土台ともいえる環境の保全は必須の取り組みであるという認識のもと、GHG排出量の2030年3月期の目標について、サンゲツグループでは55%削減(2021年度比)、サンゲツ単体ではカーボンニュートラルと設定しました。
当社のGHG排出量削減の取り組みは、これまでも事務所やロジセンターの省エネ設備更新、営業車両のハイブリッド化やエコドライブの推進、CO2排出係数の少ない新電力への切替などを行ってきましたが、2030年の目標達成に向けて、省エネ、創エネ、再エネ、クレジットの4つの施策を中心に削減に取り組んでいきます。省エネは自社物件の空調設備更新、創エネは太陽光発電設備の設置、再エネでは営業車両のハイブリッド化およびEV化、再エネ電力メニューへの切替、クレジットではクレジットの購⼊といった各施策を計画しています。それぞれの施策を着実に実施し、2030年の目標達成を実現します。
※IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル。
世界中の科学者の協力のもと、定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見の評価を提供している組織。

ガソリン使⽤量の推移および低燃費⾞(HV・EV)⽐率

2015年から「エコドライブ活動」をスタートし営業車両においては、ハイブリッド車両を中心とする環境対応/低燃費車への全面移行を進めています。
また、全営業車両にGPSを利用したSmartDrive Fleetを装備させ、急加速・急ブレーキ・スピード超過等の情報を本社にて収集し、安全管理とともに温室効果ガスの削減に繋がるエコドライブを強化しています。

2024年2⽉より、中部LCⅡの太陽光発電設備で発電された電⼒の一部を、愛知県名古屋市にある本社・中部支社へ送る⾃己託送を開始しました。⾃己託送とは、⾃社が保有する施設で発生した再生可能エネルギーを、電⼒会社の送配電網を通じ、遠隔地にある⾃社施設で使⽤する仕組みです。中部LCⅡの太陽光パネルで年間1,230MWhの発電量を⾒込んでおり、総発電量の約53%を中部LCⅡと隣接する中部LCⅠで⾃家消費しています。さらに、このたびの⾃己託送の開始により、総発電量の約36%をLCⅡから離れた名古屋本社・中部支社で使⽤することが可能になりました。これにより、サンゲツ単体では約12%の電⼒使⽤削減につなげています。
当社のScope1,2におけるGHG排出量のうち、約7割が電気使用によるものです。GHG排出量の削減にあたっては、電気使用量の削減だけではなく、GHG排出量の少ない電気を購入することもGHG排出量を削減する1つの手段と考えています。
当社では2016年1月より、電気を多く使う高圧電力の拠点を、CO2排出係数の少ない電力会社からの供給に切り替えを行っています。
発電した電⼒の別拠点での利⽤(⾃⼰託送)、電⼒調達における再⽣可能エネルギー電⼒メニューへの切替を開始し、CO2フリー電⼒を使⽤した事業所は2024年度末時点で10拠点となりました。
当社は、グループ全体で持続可能な社会の実現を目指し、サプライチェーン全体におけるGHG排出量削減に積極的に取り組んでいます。
従来、当社グループの主要な壁紙工場であるクレアネイトの拠点は東日本のみで運営していましたが、壁紙の原材料仕入先は西日本に集中していました。従って、西日本の顧客へ製品を供給する際には、原材料を一旦東日本の工場へ輸送し、生産後に再び西日本へ輸送する必要があり、この物流プロセスがGHG排出量増加の要因となっていました。
このような課題に対して、当社では2024年に広島に新たな量産品壁紙工場を竣工しました。これにより、原材料や製品の長距離輸送が不要となり、特に西日本地域における物流プロセスで発生するGHG排出量の大幅な削減が期待されています。今後もサプライチェーン全体でのGHG排出量削減に向けて、グループ会社と一体となって取り組みを推進していきます。

グループ全体でのGHG排出量(Scope1,2,3)の内訳
Cat1:購⼊した製品サービス
Cat4:輸送、配送(上流)
Cat9:輸送、配送(下流)
当社では、事業活動が及ぼす環境影響を抑制すべく、2017年度よりサプライチェーン全体におけるGHG排出量「Scope3」の算定を開始しました。サプライチェーンにおけるCO2排出量を見える化することで、GHG排出量の継続的な削減に貢献していきます。