トップコミットメント

トップコミットメント

サステイナブルな社会の実現を目指して

 現在、私たちはさまざまな社会的課題に直面しています。気候変動や生物多様性、人権や貧困といった課題が、その規模と切迫感を増しつつある中、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの重要性はより高まっています。これに伴い、企業と社会との関係性も変化しており、私たち自身が社会においてどのような役割を果たすべきか、改めて明確化することが必要であると考えています。
 こうした状況下、⻑期的に実現を目指す社会価値として、サンゲツグループは、⻑期ビジョン【DESIGN 2030】において、「Inclusive (みんなで)」「Sustainable (いつまでも)」「Enjoyable (楽しさあふれる)」な社会の実現に向けて貢献していくことを掲げています。このうち、「Sustainability」は企業の将来的な成⻑に⽋かせない取り組みですが、⻑期ビジョンでは「Inclusion」を真っ先に掲げています。これは、SDGs の基本的な考え方である「誰一人取り残さない」という理念が、サンゲツグループにとっても極めて重要であると考えているためです。さらに、さまざまな空間創造に携わる当社グループならではの可能性や楽しさ、よろこびの視点を加え、これら3つを社会価値創出における私たちの取り組みのベースと位置付けています。

 ⻑期的な社会価値の実現に向けた取り組みとして、私たちはE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)、それぞれの観点から、企業としての責任・役割を踏まえた施策を実行しています。
 環境面では、脱炭素社会の実現に向けた、省エネ・創エネ・再エネ・オフセットの実行や、低環境負荷商品を拡充しています。資源循環については、当社の重要な営業ツールである見本帳および商品のリサイクルを拡大します。
 社会面では、社員の健康への配慮や安心して働ける職場づくり、女性管理職の積極登用やワーキングマザーへの支援といった、社員が働きがいを実感できるような取り組みを進めています。社会参画活動の中心として位置づけている児童養護施設の住環境改善活動も引き続き推進するとともに、支援が必要な子どもたちや、開発途上国・難⺠等への継続的な支援を行います。
 ガバナンス面においては、当社グループは、経営の透明性・迅速性・効率性を基盤としたガバナンスの強化に取り組んできました。監査等委員を含む7名の取締役会メンバーのうち、過半数となる4名を社外取締役とし、それぞれの専門性を活かして取締役会の実効性向上に努めています。また社外取締役は、取締役会等でのオープンな情報共有のみならず、現場の状況を把握するための国内外の現場への往査も実施し、忌憚のない意見を発信しています。さらに2023年4月からは、経営アドバイザーとして、京都先端科学大学ビジネススクール教授などを務める名和高司氏をお招きしています。同氏には、当社グループの経営に関わる客観的かつ広汎な助言をすでに数多くいただいており、事業・業務を知悉いただいた上で、取締役会への同席もお願いしています。
 このように、さまざまな形で外部の視点からの意見を取り入れる仕組みを整備・強化することで、自己満足に陥らない健全なガバナンス体制を維持したいと考えています。

 一方、当社グループでは2022 年12 月より、「企業理念見直し・浸透プロジェクト」を開始しました。当プロジェクトを通じ、サンゲツグループが社会に提供したい経済価値・社会価値を改めて明確化し、経営と社員が一体となった体制に基づく、新たな企業理念を策定することを目指しています。ここにおいては、社員からも自分たちで新しい理念を考え、浸透させたいという声が上がり、グループ社員有志のメンバーがチームで議論を進めています。社員一人ひとりが、社会課題の解決を含めたサンゲツグループの未来像を自ら考え、語り合い、方向性を見定めることこそが、より実態のある企業理念の策定や社会価値の創出につながると考えます。
 私たちはこれからも、サステナビリティの観点から社会課題の解決を含めた⻑期的な成⻑像を描き、持続可能な社会の実現を目指します。

株式会社サンゲツ 代表取締役 社長執行役員
安田 正介