平素より当社グループの活動にご理解とご支援をいただき、心より御礼申しあげます。
サンゲツグループの歩みは、1849年(江戸・嘉永年間)にさかのぼります。名古屋城のほど近くに、襖や屏風をしつらえる表具師として創業した当社は、1953年の「株式会社山月堂商店」創立以降、時代の変化に対応しながら、壁紙や床材、ファブリックなど1万点以上のアイテムを仕入れ、在庫し、販売するビジネスモデルを築いてきました。当時から「サンゲツ」というブランドを大切にしつつ、このような事業形態を確立してきたことは、世界でも先進的なものであったと考えています。そこには、常に新しいことに挑戦するフロンティアスピリットが存在し、これはサンゲツの原点として脈々と受け継がれてきました。
2014年に創業家からバトンを引き継ぎ社長に就任して以降、9年間にわたって経営の舵を取る中で、私が常に考えてきたのは、過去に築いたビジネスモデルは評価しつつ、我々は常に新しいビジネスモデルへの転換・拡大を進めていかなければならない、ということです。上述の通り、過去サンゲツは日本の建設市場の成長に適応した商品展開・営業体制・配送体制といった、独自のビジネスモデルを築きました。しかし、国内建設市場の成長に限界がある中で、これまでの枠組みに基づく施策では、成長性・発展性に限界があることは明白でした。このため、私たちは2014年以降、組織体制やシステム、人事制度といった事業基盤の整備に加え、海外をはじめとする地理的拡大、そして商品・物流・施工・提案力といった、機能・サービス力の強化に取り組みました。2020年には、長期ビジョン【DESIGN 2030】を発表し、2030年に目指すべき企業像を「スペースクリエーション企業」と位置付け、商品という「モノ」の提供に留まらない空間全体の創造・提供を目指し、事業活動を拡大してきました。その結果、私たちの事業力は拡大し、市場におけるポジション向上を実現することができたと認識しています。
しかし、これからもサンゲツグループが、社会により大きな価値を提供し続けるためには、よりスピード感を持って自らを変革し、より高い視座から長期的な成長戦略を描く必要があります。このような課題感から、2023年5月には長期ビジョン【DESIGN 2030】を見直し、「スペースクリエーション企業」を改めて明確化し、以下のように定義しました。
スペースクリエーション企業とは、人的資本とデジタル資本を基盤としたデザイン力とクリエイティビティによる4機能、すなわち
を有機的にインテグレートしたソリューション力により、グローバルにスペースクリエーションに関する高い価値を提供する企業
そして、スペースクリエーション企業の先の展開として、「スペースオペレーション事業」への可能性を掲げました。これは、より良い空間を創造するためのさまざまなソリューションを提供する「空間軸」での提案に加えて、その空間を使用する人々が、どのような時を過ごすのか、そしてその経験にどのような価値を得るのかという、「時間軸」を含めた提案を行う事業です。「スペースクリエーション」を行うためには、創造したスペースで時を過ごす人々の思いや経験にまで考えを巡らせる必要があり、この追求の先には、空間を長期的に捉えた価値を提案する「スペースオペレーション」があると考えています。
私たちは、あらゆる「空間」をクリエイティブな感性でデザインし提供する「スペースクリエーション企業」として、さまざまなステークホルダーとともに、長期的な価値の提供を目指します。そして、この将来像に向けて、グループ社員一丸となって挑戦していきます。皆さまにおかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます。
株式会社サンゲツ 代表取締役 社長執行役員
安田 正介
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