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インタビュー 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、株式会社サンゲツ

※本ページの掲載情報は取材当時(2025年4月)のものです。

「大阪・関西万博」会場整備参加にサプライヤー協賛

日本の心を伝える迎賓館の特注ハンドタフテッドカーペット

4月13日に開幕を迎えた「大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)」。160を超える国・地域・国際機関が参加する国際博覧会に、株式会社サンゲツは「会場整備参加」として協賛する。迎賓館の貴賓室に特注ハンドタフテッドカーペットを提供し、職人の技が光る特注品で世界各国からの来賓を足元でもてなす。

大阪万博
自然光、自然通風、自然素材を使用し、環境性・快適性を両立するとともに賓客に日本らしいおもてなしと感動を感じられる空間としてデザインされた迎賓館

世界各国が参加する博覧会 格別な空間に贈る床材を

「太陽の塔」や「月の石」など、いまだ人々の記憶に残る「大阪万博(日本万国博覧会)」。開催から55年経った今年、再び大阪の地で国際博覧会が開かれている。 大阪・関西万博には、日本開催の万博史上最多の160以上の国・地域・国際機関が参加。サンゲツは、大阪・関西万博のコンセプト【いのち輝く未来社会のデザイン】に共感し、「会場整備参加」に名乗りを上げた。
 会場整備参加とは、万博をより魅力的なものとし、すべての来場者が快適に過ごせる会場づくりのため会場に必要な施設、物品、サービスを提供すること。2022年2月に会場整備参加の募集が開始され、サンゲツによる万博への提案が始まった。
 協賛プロジェクトとして携わった西日本ビジネスユニットマネージャー 関西支社長(当時)の松尾豊は「募集が始まったのは、奇しくも弊社・関西支社が県外から大阪市内に移転して間もない頃。新型コロナウイルス第6波の最中ではありながらも、社内にはアフターコロナへの期待感や新天地・大阪で働くことの意義など機運が高まっていました」と当時を振り返る。

関西支社長(現職)の田中充生、執行役員 事業部門ゼネラルマネージャー(現職)の松尾豊、イノベーション戦略室長(現職)の鈴木和人

左から、関西支社長(現職)の田中充生、執行役員 事業部門ゼネラルマネージャー(現職)の松尾豊、イノベーション戦略室長(現職)の鈴木和人。
松尾は「大阪・関西万博はSDGsにプラスbeyondを掲げており、我が社の方向性(児童養護施設や被災地域等へのボランティア、製品提供)とも重なります。このようなアプローチを継続し企業価値の向上に繋げていきたい」と話す

(※)SDGs開発目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

 万博が目指すのは「環境や社会への影響を適切に管理し、持続可能な運営」。それに対し、サンゲツはどのような相応しい製品を、どのような形で提供できるのか。幾度となく社内で検討した結果、リサイクル糸を採用したカーペットタイル「NTdouble eco」や籾殻を活用した壁紙「メグリウォール」など、環境配慮型の製品を提案。そして双方で話し合いを進める中、迎賓館への物品協賛で会場整備参加が決まった。
 世界各国からの来賓を迎える迎賓館。なかでも「貴賓室」という来賓がくつろぎ、来賓をもてなす場へ製品を提供する。どのような製品で国賓をもてなせるのか、至極の一品を提供するべく、事業部門や商品開発課といった部署を越えた協賛プロジェクトチームを組み、社内で熟考。迎賓館は「自然光、自然通風、自然素材を使用し、環境性、快適性を両立するとともに賓客に日本らしいおもてなしと感動を感じていただく空間」。自然素材、環境性、日本の心を伝える感動提供といったコンセプトに添いつつも、技術力を必要とするハイグレードな製品であるべき。
考え抜いた末、サンゲツが出した結論は「特注ハンドタフテッドカーペット」の提供だった。
 事業部門 西日本ビジネスユニット コントラクト部長(当時)の鈴木和人は「迎賓館の中でも格式の高い『貴賓室』で弊社を採用していただけた。特注ハンドタフテッドカーペットは迎賓館に相応しい逸品でありつつ、その技術の担い手不足という課題も抱えています。この機会に日本の職人の高い技術を世界に伝えたい」と思いを明かす。

厳選素材と手作業が生む 唯一無二の特注品

 製法や素材など多種多様なカーペット。一般的なタフトカーペットは機械で糸を打ち込むのに対し、ハンドタフテッドカーペットは職人による手作業で作られる。
 完成までに多大な時間と労力を要するが、手作業ならではの風合いは唯一無二。制作管理を担当した商品開発課の高柳陽介は、「海外での生産も盛んですが、グラデーションによるデザインの変化や、素材による繊細な色表現は、日本ならではといえるでしょう」と評する。表面に滑らかな陰影をつけるカービングも手作業によるもので、陰影が表情の美しさをより際立てている。

床材ユニット 商品開発課

床材の開発を手掛ける、床材ユニット 商品開発課。
高柳陽介(左端)は「伝統的な技術を持った職人とものづくりができ、カーペットや壁紙など空間全体で価値を創出できるのが弊社の大きな強み」と話す

 今回の特注品は、横13.5メートル×縦4.1メートル。サンゲツより協力を願い、前回の大阪万博で政府館・万博美術館などの特注敷物を制作した桐織物工場(京都)が手がけた。
 企画・提案から製品完成まで約2年。万博のコンセプトや迎賓館の用途特性を踏まえ、「日本の自然風景や四季の移ろい」をどのように具現化すべきか、関係会社と協議を重ね、試行錯誤した。特に素材は何度も検討を重ね、ウール糸にレーヨン糸を混ぜることで、光を受けてかすかに艶めく表情が生まれた。
 「現代で格式を追及する物件は決して多くありません。『製品の価値』について改めて考えさせられる機会であり、迎賓館という二度とない物件に携われたことは今後の製品開発に生きると感じました。この経験を経てさまざまな方法で製品の価値を生みだしていきたい」と高柳は今後の展望を明かす。

5年に一度の世界の祭典 空間づくりで万博に協賛を

 大阪・関西万博の見どころのひとつとして、国や企業によるパビリオンがあるだろう。なかでも海外パビリオンは各国が未来の社会や技術、文化を表現。展示を通じて各国の特色を体験できる場となる。
 その多くの海外パビリオンにもサンゲツの壁紙や床材、ファブリックといった多彩な製品が採用されている。事業部門 関西支社長(現職)の田中充生は「海外パビリオンのみならず、国内パビリオン、フードコート、お手洗いに至るまで会場内の各所に弊社製品を納品しております。なかでもフランス館では、建物の象徴でもあるカーテンの加工・取り付けをしたのが印象的でした」と話す。
 4月13日から10月13日の184日間、大阪・関西万博では国内外約2800万人の来場者を見込む。会場にはさまざまな文化、歴史、価値観を持った人々が集い、楽しみ、交わり、未来への希望や期待を抱くだろう。
 「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する」を企業理念に掲げるサンゲツも、空間づくりで【いのち輝く未来社会のデザイン】の一翼を担っている。

糸の染色から下絵制作~完成まで、数カ月を要するハンドタフテッドカーペット

1. 下地となる布にプロジェクター等でデザイン画を投影し、布地に下絵を描く
1. 下地となる布にプロジェクター等でデザイン画を投影し、布地に下絵を描く
2. ウールとレーヨンを混ぜた糸を採用。肌触りのよいウールにレーヨンを使うことで上質な光沢を生む。加工すれば土にかえる、環境に配慮した素材
2. ウールとレーヨンを混ぜた糸を採用。肌触りのよいウールにレーヨンを使うことで上質な光沢を生む。加工すれば土にかえる、環境に配慮した素材
3. 枠に布を張り、フックガンで生地に糸を打ち込んでいく。打ち込むパイル(糸)数は1日約16,000 粒(約200,000本)、長さにして約1メートル。打ち込む間隔や密度を均等にするなど慎重さを要するが、迷いなく打ち込む度胸も必要だという
3. 枠に布を張り、フックガンで生地に糸を打ち込んでいく。打ち込むパイル(糸)数は1日約16,000 粒(約200,000本)、長さにして約1メートル。打ち込む間隔や密度を均等にするなど慎重さを要するが、迷いなく打ち込む度胸も必要だという
4. 手作業で表面を均等に仕上げていくシャーリング。腰を屈めながら、重量のある機械で表面をなぞる
4. 手作業で表面を均等に仕上げていくシャーリング。腰を屈めながら、重量のある機械で表面をなぞる
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