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Project Report
CAt(C+A tokyo)シーラカンスアンドアソシエイツトウキョウ

※本ページの掲載情報は取材当時(2021年4月)のものです。

震災復興の新しい街づくりを語り合う「広場」に採用された、防滑性・耐久性・清掃性に優れた床材
「ニューセーフティ」

山元町は宮城県の東南端にあり、太平洋に面し、水田の広がる低地側(東)と、山側(西)に大きく分かれています。
東日本大震災により、町の約3割が浸水し、人口減少、少子高齢化という課題加え、震災復興としての新しい街づくりの一端を担う庁舎の在り方が問われていました。
「海と山をつなぎ、人と人をつなぐ要としてのタウンホール」というコンセプトを基に、2019年に竣工した「山元町役場」。
パブリックスペースの床には防滑シート「ニューセーフティ」を採用いただきました。
採用の経緯について、また背景となる庁舎の設計に込めた思いなど、CAt(C+A tokyo)様にお話を伺いました。

山元町役場

(Photograph:阿野太一)

  • CAt(C+A tokyo)
    パートナー 赤松佳珠子氏

    日本女子大学家政学部住居学科卒業後、シーラカンス(後のC+A、CAt)に加わる。
    2002年よりCAtパートナー。
    他に法政大学教授、神戸芸術工科大学非常勤講師を務める。

    CAt(C+A tokyo)パートナー 赤松佳珠子氏
  • CAt(C+A tokyo)
    パートナー 大村真也氏

    法政大学工学部建築学科卒業、
    法政大学大学院建設工学科修士課程修了。 2007年CAtに加わる。
    2019年よりCAtパートナー

    CAt(C+A tokyo)パートナー 大村真也氏

建築設計を行う上で、大切にされていることをお聞かせください。

大村基本的に建築というものは、そこを利用する人々の活き活きとしたアクティビティの受け皿であり、活動の場=舞台のようにアクティビティが浮かび上がってくることが大切だと思います。私自身、建築自体がシンボルとなることに対し抵抗感があり、そこで行われる活動自体が「シンボル」として浮かびあがってくることが大切だと考えてきました。
しかしながら、東日本大震災の復興というテーマに向き合った際、それまであった日常の風景の大部分が失われた震災被災地の町の中で、場所の在り方も含めてそこに住む人たちの心の拠り所というか、「心の中の風景」として強い安心感を与える場を創っていくことも建築家として向き合わねばならない課題であると意識するようになり、建築のシンボル性を併せ持った「風景」を創ることも大切であると考えるようになりました。

赤松私達は教育施設の設計を手掛けることが多いのですが、例えば学校であれば毎日通う子どもたちにとって楽しく過ごし「今日も学校に行きたい」と思ってもらえるような場所をつくることが大切であり、建築そのものの印象よりも「子どもたちが元気に活動している」といった印象を残せることが良い建築であると思います。強い安心感を与える場であると同時に、子どもたちが元気に活動する場であることの双方を併せ持つことが大切だと思います。

大村プレイスメイキング=場所を創るということは、我々建築家が単に建物をつくるだけでなく、そこで起こる出来事をデザインすること、そしてその場が利用者から愛着を持ってもらえるような場をつくることが大切だと思います。

今回手がけた宮城県「山元町役場」の設計ではどのようなことを意識されたのでしょうか?

大村まず、町民の皆さんにとって「町がどのようなものかを考える」というテーマからワークショップをスタートしました。最終的に町民の皆さんがこれからの街づくりをどのようにしていきたいかということを、官·民の領域を越えて話し合える機会を設けるためです。町の人と人をつなぎ、新しいふるさとの風景を皆で育てていく「広場」としての役場の在り方を、職員・町民の皆さんとイメージしていくことができました。

赤松今までの日本の公共建築は、どちらかと言えば行政主導での基本構想・基本計画の策定をベースとして進み、その後の設計段階になっても、なかなか市民や住民の方々が参加して、愛着を持ってもらうといったステップを踏めずに、施設の完成を迎えるケースが多かったのではないかと思います。町役場の主役は使い手である役場職員や住民の皆さんですので、そこで過ごす人々が一緒になってどのような施設にするのかということを考えるプロセスを経ない建築は、完成しても「他人事」として捉えられてしまうのではないかと。そうならないために、皆さんに設計に参加してもらえる関わり方を考えることも必要であると思います。

山元町役場

(Photograph:阿野太一)

山本町の庁舎で防滑シート「ニューセーフティ」を採用された理由をお聞かせください。

大村1階フロアを明るい「広場」として見立て、外部との境界にガラスの折れ戸を採用し、開け放つと内外がひと続きの「土間的な空間」にしようと考えました。一方で、屋内を広いワンルーム空間としたことから、温熱環境を考慮した床吹き出しの冷暖房と太陽光の集熱システムを採用することになり、屋内側のフロアは土間そのものではなく、乾式とする必要がありました。
山元町は東北地方でも比較的温暖で、雪が積もりにくい地域なのですが、兼業農家で山間部や農地などに行くために長靴などを履いて訪れる町民の方も多いと聞きましたので、床仕上げの防滑性や耐久性が重要だと考えました。
内外がひと続きの土間であるというイメージを保っため、色々な工法を検討してきたのですが、タイルや左官仕上げといった在来工法の場合、経年劣化や破損した場合に庁舎の機能に支障をきたす可能性もあるため、容易に更新が行えることなどを総合的に判断してシート系の床材で検討を進めてきました。従来の長尺シートの場合プレーンなものは汚れが目立ちやすく、柄があるものは表面にプリント柄を施したようなものが多く、さらに防滑性能を求めると、表面にエンポス加工が施され、不自然な光沢と柄に抵抗感がありました。さらに、ラフな使用にも耐え外部舗装と同等の防滑性・耐久性を持ち、かつ士間的な空間イメージにマッチする床材を色々と探していたところ、ご提案いただいたのが、「ニューセーフティ」でした。
表面が経年で多少削れてきても防滑性能が維持できるという点も含め、従来の長尺シートの印象を払拭する床材でした。

赤松木目調のような柄物の長尺シートは何となくフェイクっぽい感じがしているのですが、「ニューセーフティ」はプレーンな柄のバリエーションがあり、いくつかのサンプルをご提示いただき、最適なものが選べました。
土間っぽいけど「土間風仕上げ」のような寄せ方をしておらず、割とシンプルでモノトナスな質感が、今回私達がイメージしていた「土間的な空間」のイメージに合致しました。

山元町役場

(Photograph:阿野太一)

「ニューセーフティ」は防滑性とメンテナンス性に優れており、今年4月にHACCPインターナショナル社の認証を取得したことで、施設の厨房をはじめ食品関連施設でもより安心してお使いいただけるようにしました。今後考えられる用途やメリットがあればお聞かせください。

赤松防滑性能があり清掃性に優れた床材というのは重要です。HACCPの義務化により、厨房などでの使用について、今後クライアントに提案する上で強みになると思います。

大村我々もこれまで、学校の給食室や調理実習室などで防滑性のある床材を使ってきましたが、選択肢が少なく、往々にしてデザイン面は二の次にされてしまいバリエーションも限られていました。例えば調理実習室と廊下をシームレスで繋ぐという事はなかなか出来なかったのですが、ニューセーフティの場合、機能性プラスデザイン性が加わっているので、一体のイメージで繋げることが出来そうです。計画中の公民館でも、調理実習室と食育室を一体の空間として可動間仕切りで区切るような空間の在り方が求められていますが、そういった用途への可能性もあるのではないかと思います。

今後の貴社のビジョンと取組みについてお聞かせください。

大村我々のように長年続いている事務所は、どうしても経験を積めば積むほど保守的になりがちです。設計のクオリティを担保するためには、過去手がけた施設の改修や修繕といった経験をフィードバックしていくというプロセスが必要ですが、新たなチャレンジヘの障害になってはならないと思います。建築家として「未来」を描いていくことを常に意識してこれからも続けていきたいと考えています。

赤松経験値が増えて歳をとっていくと、自分の価値観に固まっていきがちです。C+Aは設立当初からパートナーシップ=建築家のグループという形でスタートし、事務所の在り方そのものがデザインの対象であるという考え方で35年間やってきました。
アトリエ系の設計事務所といっても、ボス型の事務所とは異なり、新しい人たちが参加して一緒にやっていける体制で、これからも新陳代謝を繰り返しながら、設計対象も公共・民間、施設用途も問わずに、新しいプロジェクトにどんどんチャレンジしていきたいと思います。

Products

防滑シート2.0mm ニューセーフティ

カーボランダム骨材を練り込んだ特殊構造による防滑性と耐摩耗性が特長です。

商品情報

2022-2024 Sフロア

2022-2024 Sフロア

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