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サンゲツ
Project Report
清水建設・梓設計設計共同企業体/株式会社OKデザイン室

※本ページの掲載情報は取材当時(2019年11月)のものです。

複合防災施設の集いの場をデザインと機能面で支える

茨城県神栖市にある、かみす防災アリーナは2019年6月に開館。 「『もしも』のときも、『いつも』のところへ」をコンセプトに掲げたこの複合防災施設は音楽ホールやプール、アリーナを備え、市民から親しまれています。
今回、この施設の共用スペースであるコミュニケーションコリドーにデジタルプリント壁紙〈ハイグラフィカ〉を、音楽ホールの壁面や天井に 不燃認定天然木突板壁紙「WILL WOOD®」と粘着剤付化粧フィルム「リアテック」を採用いただきました。
市民のコミュニケーションの場となるコリドーと音響面を追求した音楽ホールの素材に求めたものとは…。
設計を手がけられた清水建設・梓設計設計共同企業体様、デジタルプリント壁紙〈ハイグラフィカ〉のデザインを担当されたOKデザイン室様にお話を伺いました。

※以下本文では、デジタルプリント壁紙〈ハイグラフィカ〉をハイグラフィカ(壁紙)、不燃認定 天然木突板壁紙「WILL WOOD®」を「WILL WOOD®」、粘着剤付化粧フィルム「リアテック」を「リアテック」と記載。

かみす防災アリーナ

共用スペースと音楽ホールに求めたものは?

日常は文化やスポーツの会場として機能する、日本最大規模の複合防災施設

重松 英幸 様 清水建設株式会社 設計本部
教育・文化施設設計部
設計長
重松 英幸 様

かみす防災アリーナは、清水建設・梓設計設計共同企業体が設計を手がけた複合防災施設。災害時は防災拠点施設として、また平常時はスポーツや各種イベント等で多くの市民が集い、にぎわいをつくる、新しい概念の施設です。民間が参画し、資金やノウハウを活用して公共事業を行うPFI(Private Finance Initiative)を採用して作られたこの建物は、地下1階・地上2階建ての建築面積13,891.97㎡、延床面積20,145.47㎡の国内最大規模の複合防災施設。最大約1万人の避難者を収容でき、停電時には3日間運転できる非常用発電機を備えているほか、施設内のベンチなどの家具は備蓄庫も兼ね、すべてがキャスター付きで必要な場所に移動できるようにデザインされています。

この施設は普段から地元の人々に親しんでいただけるよう、スポーツの試合・観戦もできるアリーナ(観客席2500席)や、音楽ホール(観客席300席)、温水プール(25m×8コース)といった文化活動やスポーツの会場としても機能します。

近年、公共施設では地元の杉など「木」を取り入れることが主流になっています。この施設でも木鋼ハイブリットを含め多くの「木」を提案し、音楽ホールやコリドーのウッドデッキなど、ぬくもりを感じさせる木をいたるところに用いることで避難した方々でもホッとできる快適な空間を追求しています。

音楽ホール〈採用箇所〉客席壁面上段:「WILL WOOD®」客席壁面下段:「リアテック(リアルウッド)」 音楽ホール〈採用箇所〉
客席壁面上段:「WILL WOOD®」/客席壁面下段:「リアテック(リアルウッド)」

特注壁紙のハイグラフィカを共用スペースの壁に

建物には神栖市から見える太平洋をイメージした大きな庇を設置し、広いウッドデッキを配しています。ウッドデッキに面した共用スペースであるコミュニケーションコリドーは、日常的に、そして災害時にも人々の憩いの場として活用できるよう、設計しました。一般的にコリドーとは回廊や通路を意味しますが、ウッドデッキから出入りしやすいよう折れ戸で仕切り、内側からも外側からも人の動きが見えるよう開放的な空間になっています。人々が集い、交流する場所であるコミュニケーションコリドーの壁面には神栖市を象徴するビジュアルを描きたいと考えていました。そこで壁に採用したのがハイグラフィカ(壁紙)。

温かさを感じさせる風合いの壁紙にビジュアルをプリントするなら、ハイグラフィカの技術が適していると思いました。

壁紙には「光」と「水」の文字を記号化した、ピクセル画を施しています。「光」のピクセル画が描かれた壁面はW46.7m×H6.4m、「水」の方はW81.5m×H9.4mで、どちらも大きな面積を占めます。とくに「水」の方は壁に高さがあり、開口部も大きいのでハイグラフィカ(壁紙)のピクセル画がズレることなく貼れるかという課題もありましたが、貼り方について、サンゲツさんから施工方法のご提案をいただき、美しく仕上がりました。遠くから見るとタイルと見間違えるような立体感を感じさせるハイグラフィカ(壁紙)は、実際に現場に立つと色調が美しく、予想以上の効果を生んでいます。

デザインと音響効果、耐久性を追求し、「WILL WOOD®」と「リアテック」を採用

木目がぬくもりを感じさせる音楽ホールは市民のクラシックコンサートや講演会などにも使用されるほか、災害時には避難スペースとして対応できるように設計しています。ホールの壁には音響設計を担当された永田音響設計さんから「壁面は複雑な角度で大きな凹凸があると音の響きがよくなる」という提案があり、木調パネルを取り付けることになりました。そこで、音響パネルを立体的に組み、木目デザイン商品の「WILLWOOD®」と「リアテック」をパネル1枚1枚に貼り付けました。ステージ壁面と客席の壁面上段には天然木を薄くスライスし、壁紙に加工した「WILLWOOD®」を、そして客席の壁面下段にはキズとヨゴレに強く、耐久性のある木目柄の「リアテック」を用いています。

特に「リアテック」は、同シリーズの中でも自然な木の表情を追求した「リアルウッド」を採用。リアルな導管表現に拘った印刷製法が特徴です。本物の木と比べても柄が安定している「リアルウッド」は、照明の光が当たった時の反射面が織りなす陰影も美しく、思い通りの迫力ある立体壁面の空間を作ることができたと思っています。なお音響面については、前述の永田音響設計さんからも「残響音がとてもきれいに出ている」という声をいただいています。

音楽ホール〈採用箇所〉 客席壁面上段・ステージ壁面:「WILL WOOD®」/客席壁面下段・ステージ天井面:「リアテック(リアルウッド)」 音楽ホール〈採用箇所〉 客席壁面上段・ステージ壁面:「WILL WOOD®」/客席壁面下段・ステージ天井面:「リアテック(リアルウッド)」

人々が交流する場に「館」の思想をハイグラフィカ(壁紙)で表現

ストーリーを感じさせるグラフィックを追求

大内 かよ様 株式会社OKデザイン室
大内 かよ 様

コミュニケーションコリドーのグラフィックウォールは「市民のコミュニケーションスペースとしての館」を表現したものです。このプロジェクトではハイグラフィカ(壁紙)を用いることが決まっていたので、巨大キャンバスを想定し、壁紙にプリントするビジュアルを何度も提案し、詰めていきました。最終的にはストーリーを感じさせ、イマジネーションをかきたてるものとして、「光」と「水」の文字を記号化したピクセル画に決定しました。地元の人々がこの壁面のビジュアルについて理解できるものがよいと考え、神栖市の自然をモチーフにしており、太平洋から昇る朝日、鹿島灘の海、そして水平線を表現しています。

pixel pattern 「光」と「水」の文字を記号化したピクセル画 pixel pattern 「光」と「水」の文字を記号化したピクセル画

ハイグラフィカ(壁紙)の印刷から施工まで

制作のプロセスは「光」「水」の文字をもとにコンピュータで記号化し、1つ8×8cmのピクセル画を作り、シミュレーションを繰り返した末、最終デザインをハイグラフィカの技術を用いてキャンバス調の壁紙にプリントしました。壁紙に施したデザインの微妙な色表現や、あたたかな質感も申し分なく、思い通りの居心地のよい空間を作れたと思います。施工時にはピクセル画にズレが生じることを心配しましたが、柄ズレもなく、壁面は凹凸のある壁紙がダウンライトの光を受け、やわらかな印象に仕上がりました。サンゲツさんには壁紙の印刷から現場の施工まで、丁寧にご配慮いただけたことをうれしく思っています。

壁のピクセル画は、遠目にはグラデーションの色面に見えますが、近づくと文字による幾何学パターンだとわかります。これは印象派の点描画の効果に似ているかもしれません。訪れた方たちがある時、しくみに気付き、そして何度も見ることで愛着が育っていくと良いですね。そんな空間になることを願っています。

ハイグラフィカ(壁紙)のデザインをはじめ、サインやロゴ制作などに関わった、かみす防災アリーナですが、「いばらきデザインセレクション2019」や「第53回日本サインデザイン賞」「2019年度グッドデザイン賞」など、複数の賞を受賞したことをうれしく思っています。

今回のハイグラフィカへのデザイン採用を機に、次の新築マンション案件で室内グラフィック演出壁にもハイグラフィカ(壁紙)を提案していきたいと考えています。

左/コミュニケーションコリドー 音楽ホール側 ハイグラフィカ(壁紙) 「光」 W46.7m×H6.4m 右上/コミュニケーションコリドー アリーナ側 ハイグラフィカ(壁紙) 「水」 W81.5m×H9.4m 右下/コミュニケーションコリドー2階 ハイグラフィカ(壁紙) 「水」 左/コミュニケーションコリドー 音楽ホール側 ハイグラフィカ(壁紙) 「光」 W46.7m×H6.4m
右上/コミュニケーションコリドー アリーナ側 ハイグラフィカ(壁紙) 「水」 W81.5m×H9.4m
右下/コミュニケーションコリドー2階 ハイグラフィカ(壁紙) 「水」

商品情報

木へのこだわり 木のぬくもりを感じられる居心地のよい空間 それはコントラクト空間においても天然木が香る突板壁紙「WILL WOOD®」とメンテナンス性のよい粘着剤付化粧フィルム「リアテック」を組合せ使用することで実現しました。 木へのこだわり 木のぬくもりを感じられる居心地のよい空間 それはコントラクト空間においても天然木が香る突板壁紙「WILL WOOD®」とメンテナンス性のよい粘着剤付化粧フィルム「リアテック」を組合せ使用することで実現しました。

天然木が香る突板壁紙

天然木を最新技術で薄くスライスし、職人の手でひとつひとつ横繋ぎした「本物の木」の壁紙です。

環境・自然保護の観点からも貴重な天然木の消費を抑え、森林資源の保全につながります。

Point

  • 「木目調」ではない、木の香りがする天然木
  • 地産地消に貢献
  • 全点不燃認定/F☆☆☆☆適合品
  • 壁紙と同様の施工が可能

リアテック 木目シリーズ リアルウッドエクストラ

REATECの木目シリーズなら豊富なラインアップから、様々な空間や用途に応じたものが見つかります。
3つの価格帯でご予算や用途に応じて選べる豊富なバリエーションをご用意しました。

高い意匠性とメンテナンス性を併せ持つ粘着剤付化粧フィルム

リアテックは、建具やドア枠、扉、家具などの多様な形状、素材への施工が可能な粘着剤付化粧フィルムです。
オフィスやホテルをはじめ、店舗やアミューズメント施設、住宅など幅広いシーンに対応する高い意匠性と豊富なカラーバリエーションを備えています。

Point

  • 立体面への施工が可能
  • キズ・汚れなど、メンテナンス性にすぐれている

自由に、気軽に!
世界でたったひとつだけのオリジナル商品が作れます

デジタルプリントシステム ハイグラフィカ

  • オリジナル
    デザイン

    オリジナルのデザインをフルカラーで出力。
    グラデーションや多色使いなど自由に表現ができます。

  • フリーサイズ

    空間に合わせたサイズで思いどおりの演出ができます。

  • 小ロット

    必要なときに必要な量を製作できます。

かみす防災アリーナのオリジナル壁紙ができるまで

1.イメージパース図作成

OKデザイン室様にてイメージパース図を作成いただきました。

2.デザイン作成

OKデザイン室様にてコンセプトをもとにオリジナルデザインを作成いただきました。

3.割付図の作成

OKデザイン室様よりいただいたデザインデータと清水建設様にて作成いただいた展開図をもとにサンゲツにて壁紙の割付図を作成しました。

4.施工

ハイグラフィカの特徴を最大限に活かしたインパクトのある壁紙をホール壁面に施工しました。

選べるベース素材

●壁紙

グラフィックに合わせて、プレーン調、キャンバス調、サンド調の3種のテクスチャーからお選びいただけます。

●ガラスフィルム

ガラスの透明感に自由な彩りをアレンジできます。

●粘着剤付化粧フィルム(REATEC)

壁面や防火扉・EV扉などをオリジナルのデザインで装飾できます。マット調、グロス調からお選びいただけます。

●和紙

和紙の素材感を生かした表現が可能です。

選べるオーダー方法

既製品の中から選ぶのではなく、物件、イメージに合わせたオリジナル商品が製作できるフルオーダーと、写真、イラスト、パターンの素材集GRAFICA COLLECTIONからお好きなデザインをお選びいただけるイージーオーダーがあります。

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