「自分がつくった」と思えば、トイレをきれいに保ちたいと思ってくれるのでは？…そんな意識の変化を期待して、子ども参加型で進めたトイレ改修。ワークショップ形式で行ったことにより、子どもが「自分たちにとって必要なトイレとは何か」を自分事として自発的に考える機会となり、結果として、子どもたちが愛着を持つ「子どもたちが自らつくったトイレ」として年々評価されています。

必ず汚れる場所をきれいに保つメンテナンスの重要性

トイレは、いかにきれいで斬新なデザインであっても、汚れて当然の場所。維持管理しやすいことも大切です。トイレ改修は、完成して終わりではないのです。子どもたちの楽しいアイディアも、子どもたちとのワークショップを通じてつくった大阪市立大大学院生の皆さんの特徴的なデザインも、どちらも重視しながら、同時に掃除のしやすさなどのメンテナンス性の高さもとても重要で、機能を担保するための素材選びはおろそかにはできませんでした。サンゲツの「リアテック」は、傷や汚れがつきにくくきれいにしやすい、メンテナンス性に優れた商品。採用に満足しています。

自然豊かな景観の中に馬淵小の現校舎が建てられた平成5年頃、学校のトイレは和式便器が主流でした。25年が過ぎた今は、自宅をはじめ洋式便器の生活が定着しています。そのため、毎日使うはずの空間なのに、学校の使いなれない和式便器のトイレに行きたがらない子どもが増えてきています。和式便器の使い方が分からない子どものために使い方をレクチャーしていたこともありました。トイレの我慢は健康問題にもつながりますから、「臆せず行ける場所」を目指し洋式化に踏み切りました。

各階ごとにテーマを変えて子ども目線で安全・きれいさにも考慮して

ワークショップを経て、子どもたちの考える馬淵小のイメージから、大きなデザインテーマは「自然」に決まり、各エリアのモチーフは、1階「水辺」、2階「陸」、3階「空」に。デザイン面だけでなく安全面も考慮し、子どもながらの行動を想定して、けがをしない構造か？棚によじ登ったりしないか？など、市と設計事務所が大学院生のサポートをしながら設計を進めました。安全で、子どものアイディアを具現化したデザインのトイレだから、子どもたちには愛着を持ってきれいに永く使ってほしい。手入れのしやすい「リアテック」で、きれいなトイレを保ちやすくなったと思います。

改修後、トイレットペーパーの使用量が激増!!その理由は…？

学校ではトイレに行けなかった子どもの保護者から、こんな電話がありました。「うちの子が、今日は何回トイレに行ったよ！と、報告してくれるようになったんです！」。どの学校でも、トイレットペーパーの使用量が激増して、うれしい悲鳴が上がっているそうです。臆するどころか、喜んで行きたい場所になってくれたのだと思うと、感慨深いですね。

トイレ改修は2年計画で進みます。前年9月にワークショップがスタート、途中から我々が設計に参加し、工期は本年度の夏休み期間の1ヶ月のみ。短い工期の中では、スピーディに発注・手配できる、標準的に在庫のある建材がベストです。さらに、施工もスピーディにできると理想的。「リアテック」は粘着剤付化粧フィルムなので、他建材と比較すると工期短縮につながります。また「リアテック」はいくつかあるブランドの中でも予算的に手頃な上に色柄も豊富なので、すぐに採用を決めました。

通常の壁紙より強く、きれいさも保たれる

床も壁も水拭き掃除の可能な素材にできたので、子どもの負担が減りました。通常の壁紙よりも強度があり、傷も汚れもつきにくいので、内装材としての機能性・安全性・メンテナンス性も担保できています。子どもは、なぜこんなところを？という意外なところを汚したりしますよね。しかし2年目の使用感や汚れの残り具合としては、非常にきれいに保たれています。素材でこれだけ差が出るのかと驚きました。今後も壁装材には「リアテック」を積極的に採用したいと思っています。