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モノづくりストーリー MONOZUKURI STORY

STORY#02 <前編・カーテン>

⽇本から発信するファブリック

STORY#02 <前編・カーテン>

サンゲツのカーテンは、テイストや価格帯を軸にポジショニングした3つの⾒本帳をメインに⽴てている。STRINGS(ストリングス)、AC(エーシー)、Simple Order(シンプルオーダー)である。加えて、壁紙とカーテンをペアリングしたEDAブランドとしてHAMPSHIRE GARDENS(ハンプシャーガーデンズ)を発刊。これらのうち2019年5⽉に発刊した『2019-2022 AC』について、その特徴や開発時のストーリー、代表的な商品を紹介する。
※本ページの掲載情報は取材当時(2019年12月)のものです。

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PROJECT
⽇常を過ごす空間を
⾃分好みに仕⽴てる

  • マーケットを反映させた⾒本帳

    カーテンの見本帳のひとつはSTRINGS。総合見本帳と位置づけており、吟味した素材でクラシカルやエレガントをキーワードに786点を収録している。Simple Orderはワンプライスの価格設定で、155点のカーテン生地が揃う。これらに対し、ACはカジュアルやコンテンポラリーなテイストで、「my favorite」をコンセプトに、ライフスタイルに適った好みのカーテンを取り入れることで、暮らしを楽しくする商品をラインアップしている。

デザインを楽しむ枠を広げる

「今日はデザイン事務所で打合せ」「出張先で宿泊したスタイリッシュなホテル」「フードコーディネーターとランチ」「フラワーコーディネーターの自宅にお呼ばれ」「ホームシアターでまったり」……。あるインテリア・スタイリストの日常のシーンを想定し、その空間のカーテンと壁紙にふさわしいコーディネートを紹介している。ACの見本帳において、巻頭で展開している「コーディネートレシピ」だ。
ACは、総合見本帳のSTRINGSとは切り離された独立したブランド。トレンドを踏まえつつ、3年周期でSTRINGSと交互に刷新しており、今年で2冊目となる。
前回の見本帳は、ターゲットをコントラクトとして防炎商品に絞っていたが、今回は、コントラクトと住宅マーケットに向けた商品を拡充。組織(経糸と緯糸の構成)やデザインの幅を広げ、綿や麻などの天然繊維、フィルムやラメなどテクスチャーのある素材を用いて、意匠性を際立たせた。
「コーディネートレシピ」は、発刊時期の重なる壁紙の見本帳FINE(ファイン)との連動企画である。FINEでは壁紙をフィーチャーし、ACはカーテンを前面に構成している。トータルでインテリア商材を扱うからできる企画を打ち出したいと考えた。
カーテンと壁紙は、壁を彩るマテリアルとして大きな面積を占めるが、小さなサンプル生地から空間を想像することは、エンドユーザーにとって容易でないこともある。そこで壁紙とカーテンの相性を瞬時に把握できるものとして、空間を写真で表現し、それぞれのサンプルを添えたのである。無地で無難にという選択肢もあるが、柄と柄の組み合わせなど、ワンランクアップしたコーディネートのヒントとして活用いただきたい狙い。

「コーディネートレシピ」フードコーディネーター宅でランチ 「コーディネートレシピ」フードコーディネーター宅でランチ
  • テキスタイルブランドSOU・SOUとのコラボレーション テキスタイルブランドSOU・SOUとのコラボレーション
  • バラエティに富むテイスト

    ACにはふたつのアクセントとなるカテゴリーがある。ひとつは、京都発信のテキスタイル・ブランドSOU・SOUとのコラボレーション。SOU・SOUは、⽇本の四季や⾵情をポップに表現した、和装や地下⾜袋、袋ものや⼿ぬぐい・⼩物などを製造・販売している。今回、ACにラインアップしたのは、⻄洋で培われた⽂化であるカーテンを⽇本で⽤いるにあたり、「⽇本らしさを表現したい」という思いがあり、同じビジョンを持つSOU・SOUのテキスタイル・デザインを取り⼊れたのである。[詳細は後編で紹介]

  • もうひとつは、英国発信のHAMPSHIRE GARDENS。2世紀以上続くファブリックメーカー・Walker Greenbank社の⼤量に蓄積されたデザインのアーカイブから、イングリッシュガーデンをテーマにセレクトしている。単独の⾒本帳もあるが、マーケットで評価の⾼いものを中⼼に、全体の3分の2ほどの商品をピックアップし、EDAブランドとしてACに組み込んだ。
    いずれも、⽇本のインテリアにフィットするように、⾊柄やスケール感を調整している。たとえばHAMPSHIRE GARDENSは、ベースとなるデザインは英国仕様で、柄のサイズが⼤きいし、⾊も⽇本の住空間になじまない。そこで⽇本の天井⾼や床⾯積を考慮して、⾊と柄をアレンジした。

  • ハンプシャーガーデンズ「AC5288」 ハンプシャーガーデンズ「AC5288」
  • フロントレース「AC5563」 フロントレース「AC5563」
  • このほか、今回商品を充実させたものにデザインシアー(柄物のレース)がある。カーテンはドレープとレースの組み合わせが⼀般的であるが、レースを室内側に吊るフロントレースも徐々に認知度を⾼めている。その選択肢を増やすことで、インテリアをより楽しんでもらいたい、という考えだ。
    また今回の⾒本帳から、ページ内にQRコードを添えている。スマートフォンなどの操作で、掲載した施⼯例写真以外の⾊柄を⽤いた写真も⾒ることができ、イメージを増幅させ、好みのスタイルを⾒つける⼿助けとなっている。

OUR VIEW POINT
ゆるぎないイメージが
商品の完成度を上げる

⽣地単体はもちろん、ドレープとレースの組み合わせもしっかりと考えてデザインしています

― ⼩⻄真実

  • ⽣地単体はもちろん、ドレープとレースの組み合わせもしっかりと考えてデザインしています

    ― ⼩⻄真実

    — デザインはどのように決めるのですか?

  • ⼩⻄真実 Mami Konishi

    ⼩⻄真実Mami Konishi

    株式会社サンゲツ
    インテリア事業本部 ファブリック事業部
    カーテン事業室 リーダー

⼩⻄: 市場のリサーチや社内外の声を収集してトレンドをつかみながら、アイデアを⽇々あたためています。そして、思い描く表現にはどのような素材がよいのか、織りの組織は? ⾊は? 製造⽅法は? などとさまざまな視点から、総合的に導き出しています。たとえば海外の展⽰会に⾜を運んだときに、おもしろいテクスチャーやつくりを⾒つけると、直接アプローチして、新たなデザインで製作してもらうこともあります。また、折々に試作をしますが、その段階でお客さまに実際に⾒ていただいて、その感想やアドバイスも取り⼊れていきます。

  • — 実際の製作はどのような⼿順ですか?

    ⼩⻄: カーテンの⽣地には⼤きく織りとプリントがあって、刺繍などの⼆次加⼯などもあり、それぞれに得意な機屋(はたや)にお願いしています。最初にコンセプトやイメージを機屋に伝えて、上がってきた試作品に対して、よりよくするにはどこを修正すれば良いか、ポイントを具体的に指⽰していきます。たとえば綾織りに⾒えないように、繻⼦(しゅす)のような組織にしてほしい、とか平織りに近い織り⽅に、といった具合です。海外の機屋でお願いするときには、⾔葉での意思の疎通が難しいときもあります。たとえば⽇本では受け⼊れづらい⾊や柄もあって、アレンジをしてもらいたいと思っても微妙なニュアンスが伝わりにくかったり。そんなときにはスケッチや図を送ります。やはり同じ業界ですし、共通⾔語が潤滑油になって通じるようです。

  • 今回はどのように製作されたのですか?

— ⾒本帳をつくる上で注意していることは?

⼩⻄: 前回の⾒本帳から継続している商品もあり、それを意識しつつ新たにデザインや⾊を追加していきます。そして、⽣地単体の完成度はもちろんですが、ドレープとレース、刺繍と織物、⾊と柄など、⾒本帳内で組み合わせが完結するかを重視して検討します。メインになる特徴的なものを中⼼に、それに合うものを考え、徐々に広げていく感じです。無地の場合は、織物の質感によって⾊のトーンやバリエーションを決めることもあります。また、今回のACではテイストごとに15のカテゴリーで分類しているので、⾊の⽅向性を設定して、同じベージュでもフェミニン系のときには少しピンクを加えたり、モダンでは流⾏りのグレイッシュなベージュを取り⼊れて、テイストとカラーのバランスを調整しています。

  • — たくさんのファブリックのすべてを把握しながらつくっていくのは⼤変ですね。

    ⼩⻄: アイデアが浮かんでからスムーズに進む場合もあれば、アイデアに対して何か引っかかっていて、試作もしっくりとこない、解決策もなかなか⾒つからないときは、結果的に納得のいかないものになりがちで、⾒本帳に⼊らないこともあります。
    そういった試⾏錯誤をくり返しながら、こちらの意図がつくり⼿にしっかりと伝わって、イメージしていたとおりにできあがってくると、やはりうれしいものです。

PRODUCT DETAIL

新しい表現を⽇々追求して

モダンやカジュアルさが中⼼となるAC。そのうちテクスチャーが特徴的な3つの商品を紹介する。近年は⽴体感のあるものが⼈気で、コブ状の節(ふし)の混ざる⽷やモール⽷で織ったり(AC5198など)、⾵通織りという⼆層構造で模様の部分のみ表と裏がくっついているもの(AC5347など)、また、カテゴライズとしては無地だけれど⽷と組織の組み合わせによって光の加減で表情を変えるもの、⼤胆な刺繍や光沢、ラメを⽤いたものなど、そのバリエーションは幅広い。

AC5001スパンコールと刺繍で⽴体的に

  • AC5001 AC5001」ベース⽣地と同じ⽷で刺繍してから、リボン状のスパンコールを縫い付けている
  • ベースはコットンとポリエステルの混紡で、同じ⾊の⽷で刺繍を施し、リボン状のスパンコールを透明な⽷で縫い付けている。ナチュラルな素材感を持ちながら、遊び⼼のある2種の⽴体的なテクスチャーで、デザインに厚みをもたらしている。スパンコールはマットな光沢をセレクト。製造は刺繍を得意とする海外の機屋に依頼。

「AC5001」施⼯例。シンプルモダンな空間にカーテンが⾼級感を演出する AC5001」施⼯例。シンプルモダンな空間にカーテンが⾼級感を演出する

AC5012ジャカード織りで深みのある無地に

  • 「AC 5012」杢⽷と⾊⽷の2種で織り上げることで、奥⾏きのあるテクスチャーに

    AC5012」杢⽷と⾊⽷の2種で織り上げることで、奥⾏きのあるテクスチャーに

    • ⼀⾒すると無地だけれど、⽴体感や奥⾏きが感じられる。先染めの⽷を⽤いており、2⾊の⽷を撚り合わせた杢⽷(もくいと)と単⾊の⽷を組み合わせて、ジャカード織機で織っている。⽷と組織によって⼤きな流れのある、複雑な表情になるように意識している。

  • エリア:ベース+ベースよりも短いループパイル

    AC5012」組織図

    • ベースとなる経⽷と緯⽷が交じり合っている平織りの組織

      経⽷が出ている組織

      緯⽷が出ている組織

「AC5012」施⼯例。深みのある表情がシックな空間になじむ AC5012」施⼯例。深みのある表情がシックな空間になじむ

AC5591極⼩のラメがきらめきをつくる

  • AC5001 AC5591」1ミリに満たないラメを熱圧着
  • ラメ⽷を⽤いた織物は数年前から評判を上げている。そのレース版であり、サブレ調の透け感があるナチュラルな質感の⽣地をベースに、シルバーのラメをホットメルトという熱で接着する技法で施している。ラメは強く⽖で引っ掻いても取れないほどの堅牢さ。AC5001との相性もよい仕上がりに。

「AC5591」施⼯例。光の加減でラメがさりげなく輝く AC5591」施⼯例。光の加減でラメがさりげなく輝く