私がよくシートを使うのは、ホテルなどの案件の時、客室の入口ドアに表情豊かなシートを貼って、デザインの密度を上げています。小さいパーツにも使うのですが、例えば排煙窓のハンドルは白色が多いので、バリエーション豊富なリアテックを表面に貼ることで悪目立ちせず、壁に溶け込ませることができます。シートについて様々な商品を比較検討する中で気になるのは、デザインのリピート。サンプルサイズで見ると素敵なのに、壁に大きく貼って見ると、模様の繰り返しになって不自然に見える部分が時々現れます。ムラがあるのは味があっていいのですが、「この部分とこの部分を切り取ったら同じだね。」とはわからないないようにしたい。シートは製版で作っているので、柄のパターンが生まれるのは物理的に仕方ないと思うのですが、大きく貼ったときにリピート感や不自然さが出ないような商品があると助かりますね。例えば実際の金属の模様は、ダイナミックにモヤモヤと広がっていて、同じようで繰り返しはない。その質感を表現できたらいいなと思います。

今、カタログで見せていただいているこの金属の柄は、すごく素敵ですね（左上/TX-5684）。大きなサイズでも、繰り返しがなく見えて、本物の金属のような自然なムラが魅力的だと思います。こちらの右側の抽象的な柄もいいですね（右上/TX-5606）。シートは、柄が繰り返されると一瞬で気づくものもあれば、気づかないものもあるのですが、このリアテックは気づかないですね。今思いましたが、こういう柄は、浴室パネルにもいいのではと思いました。浴室のパネルって、似たデザインのものが多く選択肢の幅が狭いので、独自性あるデザインで耐久性も高いシートが生まれたら「これ使いたい！」ってなると思います。

設計者としては、本物の素材を使えるなら使いたいと思っています。自然素材には、自然素材にしかない魅力がありますからね。しかし予算や防火などの観点からどうしても本物を使えない時、「代わりに是非これを使いたい」と思えるシートが存在してくれると、とても心強いです。例えば、今見せていただいているこの木のシート（左上／RW-5645・右上／RW-5414）。一般的な粘着シートは面で使うのをためらうのですが、リアテックの表面は、エンボスの凹凸感があって非常にリアルなので、面でも使えます。設計者自身が本物だと騙されてしまうレベルですね。素材は適材適所なので、リアテックには是非「シートでやるしかない」という場面で、力強い味方になってほしいと思います。