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明治時代から引き継がれてきた
貴重な植物の標本を壁一面にズラリ。

国立科学博物館に約130万点ほど収集されている、おし葉標本。日本に固有の植物は2000種類ほどあり、さらにその中から形がユニークなものを厳選してデザインしたのがこの壁紙です。各標本にはラベルがついており、植物の名前はもちろん、採集された地名や日付、さらには採集者も記載されています。古いものでは明治時代に採集された歴史的なものも! そんなおし葉標本を壁一面にズラっと並べて見られることは、国立科学博物館でも滅多にないのだとか。

レトロなおし葉標本と、
ナチュラルインテリアが織りなすハーモニー

綺麗な花を咲かせるものから、繊細な葉形のシダ植物まで、採取されてから長い時を経てきたようなレトロな風合いが美しいおし葉標本たち。いにしえの空気感を含んだようなクラシカルなデザインは、木の温かみを感じるテーブルやチェアー、床材や、土っぽさを感じる陶器などと相性がよく、大人っぽく落ち着いた雰囲気に。観葉植物を配置して平面と立体の両方のグリーンを楽しむのもユニーク。

PLANTS
RE53457
植物
不燃 防火種別1-4・防かび
標準価格: AA 1,090円/㎡
巾92cm 124cm  92cm
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with Dr. Atsushi Ebihara

壁紙 監修: 国立科学博物館
海老原 淳
先生

植物研究部、陸上植物研究グループに所属。特にシダ植物の分類学的・系統学的研究を専門とし、コケシノブ科に関しては地球規模の植物誌完成に向けて各地で野外調査を行う。また、国立科学博物館にある約130万点ものおし葉標本を植物のグループごとに収集、管理するのも仕事。
学位:博士(学術)
研究分野:植物分類学
TALK ROOM
ー ひとつずつの葉の形が個性的な植物の標本が壁紙になりました。これだけ一斉に揃うと圧巻ですね。ここにあるのはどのような植物でしょうか?
国立科学博物館には花の咲く植物とシダ植物を合わせて約130万点の植物の標本があります。これをおし葉標本と呼び、非常にたくさんの量がありますが、今回この壁紙では日本に固有の植物をテーマにして選びました。とはいえ、日本に固有と言いましても2000種類以上はあるのですが、その中でも特に形が面白いものを選んで壁紙にしてみました。これらは普段、平置きにして積み重ね、それを更に束ねてキャビネットに入れて保管、管理されています。いずれの標本も一般に公開してるものではなく、あくまでバックヤードに収蔵されていて、研究目的の方以外は普段なかなか見ることができない貴重なものです。
ー いつもは、棚に保管されている珍しいものなんですね! 標本には何が書かれているのでしょうか?
標本には必ず右下にラベルがついていまして、これがないと標本とは呼べません。書かれているのは植物の名前と、「富士山」のような採集された地名、日付と、誰が採集したかです。この4つの要素がほぼ必須で入っておりまして、他の情報が追加で書かれている場合もあります。ラベルをよく見ると、古いものだと国立科学博物館の前身である東京科学博物館や、東京帝室博物館(東京国立博物館の前身)の名前が入ったものもありまして、これらは明治時代や大正時代から受け継がれてきたものなんです。日本で植物研究が始まった初期の頃に活躍した伊藤篤太郎の名前もラベルで確認できたりします。海外では200年以上前につくられた植物標本は珍しくありませんが、日本で標本をつくる文化が確立したのは明治時代からです。日本にも江戸時代の標本が若干存在していますが、きちんとラベルを伴っているものは限られています。
ー なるほど、ではそんなおし葉標本が壁紙になったのを見て感想はいかがでしょうか?
標本を壁一面に並べる展示は我々もなかなかできないことなので、非常に壮観です。国立科学博物館での企画展や特別展で壁一面に標本を並べたいという案は出ますが、さまざまな事情で実現できないことが多いです。この壁紙のようにズラっときっちり並ぶのは非常に楽しいですね。この中で私が好きなのは、シダを研究していることもあり、「ミヤマイタチシダ」です。比較的日本の涼しい地域の山などに生えているシダなんですが、葉の形が整っていて非常に美しいんです。シダは1枚の葉がたくさんの葉のように細かく切れ込む構造をしてるのが特徴で、造形として綺麗なんですよね。今回の壁紙はシダが1つ選ばれて嬉しく思っています。最初は「全部シダっていうのはどうですか?」という提案もしたんですけど、まあそれは残念ながら採用されなかったです(笑)。
ー シダを愛されているのがよくわかります(笑)。では標本の意味というのはどのようなものでしょうか?
生きた状態で植物を全部栽培して維持できればそれに越したことはないんですけど、100万点もの植物を栽培するのはなかなか難しいので、代わりに標本という形でいつどこに何があったかを記録するという意味合いがあります。我々や遥か昔の研究者も含めて、さまざまな植物を調べてきた記録という意味で非常に価値があると考えています。標本という形で遺しておくことで、確実にその時代にその植物がそこにあったという記録となり、現在、そして未来に伝える手段になります。なので、歴史がラベルには詰まっていて、実は一点ずつが大変奥深いものなんです。明治時代に東京の都心部などで採られた植物の標本などでは、今ではその植物が見られない、ということも多いですね。
ー 奥深いですね。ちなみに、先生がもともと植物を好きになられたのは形が美しいからでしょうか?
はい(笑)。根本的には植物が好きでこの仕事をやっていますので、楽しみながら古今東西の標本を眺めて調査・研究を進めている部分もあります。動物ではなくなぜ植物かと聞かれることがありますが、子どもの頃に動物を捕まえようとすると逃げられる子どもだったんです。で、植物は逃げませんし、じっくり待っていてくれていいなと。消極的な理由ですが(笑)。じっと見て比較ができる対象物なので、私の性格には合っていました。
ー なるほど、小さな頃に興味をもたれて、どのように学んでいかれたのでしょうか?
国立科学博物館も含めて、さまざまな博物館に行って知識を得ていました。学校では先生もそこまで詳しく知らないのですが、博物館に行けば詳しい方がいて「博物館って天国だな」と感じていたわけです(笑)。あとは植物の愛好家の方々は日本にたくさんいらっしゃいまして、そういう方にも教えていただいたりしていました。
ー では、この壁紙はどのような場所で使っていただけたら嬉しいでしょうか?
植物標本は正直一般的にはあまりウケないことが多いんですけど、落ち着いた雰囲気を醸し出す標本を壁紙にしたことで、個人のお宅だけでなくお店などにも案外合うのかなと思っています。お店で昔の植物の専門書やその図版をディスプレイに使っているのをよく見かけますが、それを考えるとこの壁紙もお店の雰囲気作りに役立つのかなと思います。あと、ご家庭でお子さんがいらっしゃる場合、植物の葉は丸いものばかりじゃなく、さまざまな形のものがあるんだなっていうのはこれを見ていただければ一目瞭然だと思います。また花のつき方も、比較するとそれぞれ個性があります。最終的には生きた花を見ていただきたいですが、植物に親しむきっかけになってくれたら嬉しいですね。
ー 比較して違いを知っていくのは楽しいですね。他にもおすすめの楽しみ方はありますでしょうか?
選んだ植物全部が日本固有種なので、身近で見られるものが多いのですが、日本の中でも限られた地域にしか生えていないものがあったり、昔は身近にあったけれども今は個体数が減って絶滅危惧種になってしまった植物も含まれています。日本の「宝」と言える植物が壁紙になっていることを感じ取っていただけたら嬉しいです。
ー それでは最後に、先生が研究でなしとげたいことは何でしょうか?
1人だけでとても実現できることではないですが、世界中に多様な種類があるシダ植物を、全てきっちりと体系立てて整理をし、どんな種類も名前がはっきりわかるようにすることが野望です。我々の記憶容量を遥かに超える情報量を扱うため、新しい情報技術を積極的に取り入れていくことが重要になります。その目標に向かって、まだ研究が行き届いていないグループや地域を一歩一歩整理しています。地道な研究ですが、たくさんの標本に囲まれている我々のやるべき大事な仕事で、その過程でたくさんの新種が見つかったり、絶滅寸前の種が見出されたりします。限りなく個体数が少なくなった絶滅寸前種に対しては、種の絶滅を回避するために、私たちの集めた知識を最大限に役立てることが重要だと思っています。
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